第六十一話
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リカの上達具合には舌を巻く。
すでに俺の介添えの必要は無く、自在にとは言えないまでも遠乗りするに問題が無いレベルまで上達している。
そうなると、この美しいアインクラッドの景色を楽しむべく、遠乗りに出かけようともう一頭の馬をレンタルしたのだが、そのお金が予想以上に高かった。
アインクラッド内の相場はプレイヤー達の取得コルによって変動するので、高くなりこそすれ安くは成らない。
つまり、馬のレンタルは予想を上回る出費だった。
しかし、シリカと二人草原を走らせているとそんな事は些細な事だと感じさせるには十分だった。
「今ならあたし、バークさんのイベントをクリア出来るような気がします」
確かに、練習の甲斐あって、手綱さばきは中々の物だ。
馬に乗るのもかなりのコルが掛かるので、出来ればバークの紹介状が欲しい所だ。
「そうだね、街に帰ったらバークさんのクエストが何処かで発生していないか調べてみよう」
「はいっ!」
バークさんは行商人であるようなので、一度クリアされるか、一定期間クエストがクリアされないと何処か別の場所に行ってしまって、クエスト受注が安定しないのが難点だ。
とは言え、イベントのクリアは殆ど出来ないらしいが…
後日、何とかバークさんのクエストを受注できたシリカが、得意げに馬を操り、無事『バークの紹介状』をゲットしたのは別の話だ。
めまぐるしく移り行く景色、風を裂く音。
今までにためたストレスが吹き飛ぶには十分だ。
第五層の端にあるノーチェの森の入り口まで走り、馬の手綱を木の枝へと巻きつけ固定する。
こうしないと馬は直ぐにレンタルした厩舎へと自動で走り去って行ってしまうからだ。
馬から降りると、そこは気持ちの良いハイキングコースのような森林の入り口が見えた。
「気持ちのいいところですね」
「そうだね。今までの必死のレベル上げで、ステータス的には安全だからしばらくここで休憩しようか」
「良いですねっ!」
そう言ってシリカは林の中に駆けていく。
万が一の事も有ると俺も直ぐに追いかける。
ピクッ
クゥがキョロキョロとあたりを見渡している。
「クゥ?」
クゥの行動に直ぐに索敵画面に視線を移す。
すると敵対するモンスターの光点が一つ。
ガサッ
「きゃっ!」
何かが草むらを掻き分けて出現してきた。
「シリカっ!」
「大丈夫です」
俺の声にシリカは戸惑いから素早く立ち直り、しっかりと自分のダガーを構えている。
視線をモンスターに移すと、そこには水色の体色をした、小型犬ほどの大きさの小さなドラゴンが出現した。
「きゅる」
ドラゴンはひと鳴きしたが、こちらを
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