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逆さの砂時計
解かれる結び目 16
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間としてティーの家で過ごしていたの。マリア(わたし)はそれを望んでいたから」

 瞬間を切り取った画像の一つ一つが、ぽつぽつと黒く染まっていく。
 空間内で円舞を披露する記憶の断片に触れて、子供姿のマリアが微笑む。
 子供らしからぬ、柔らかな笑み。

「一つ確認するぞ」
「なんなりと」
「アリアは、()()()()子供だ?」

 子供マリアは ふ、と目を細めて、どこでもない場所を見る。
 遠く遠い、記憶の果て。
 今はもう、どこにも存在しない場所を。

「アルフと川辺に居た時の映像、途切れてたでしょ? その手の知識なんて全然無かったから。刺激が強すぎて、失神してたの。間抜けよね。自分から腕を伸ばしたのに」
「ああ?」
「アルフは私の気持ちに気付いてた。全部壊して欲しいと願っていたこと。諦めたかった気持ちに気付いてたのよ。バカよね。目が覚めた時のアルフの言葉で悟れた筈なのに、私ってば、まったく疑いもしなかったんだから」

 抽象的な言葉で濁すのは、コイツら神々側に共通する性質か何かか?
 ごちゃごちゃと迂遠な言い回しばっかりしやがって、マジでうっぜぇ。
 きっぱりすっきりはっきり端的に分かりやすくビシッと答えろっつーの!

「悪魔が破壊衝動に忠実な理由。それは、悪魔の多くが愛を知らないから。愛を知ったアルフは、私を()()()()()()と言ったのよ」

 目蓋を伏せて、口元だけで微笑む。
 自分自身を嘲笑うように。

「レゾネクトに犯された瞬間になって、ようやくそれに気付いた。アルフは私を愛していたから、最後まではできなかったの」
「要するに?」
「……封印する前、ティーの手を撥ね除けようとした()()()火花が答えよ」


 アリアは 魔王レゾネクトの 子供。



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