解かれる結び目 16
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の眼球には私の罪悪感とアリアへの思いを刻ませて」
ティーの虹色の目が、睨むような私を静かに映してる。
酷い顔ね。刃のように凶悪で、泥沼みたいに醜悪な顔。
自分にこんな表情があるなんて思わなかった。
今にもティーを刺し殺してしまいそう。
「哀れな娘よ」
「哀れみは要らない。優しさも必要ない」
そんなのじゃ結局、誰も救えなかった。
皆、いない。
優しい人達は、優しかった人達は、誰一人残っていない。
触れたくもないものばかりが、私の世界を侵食した。
私が大切に思えるのは、この世界でただ一人、アリアだけ。
私のアリアだけ。
『時間』の力が一番強く残っているティーの眼球に、私の力を込める。
力で取り出して、私の意識で覆い尽くす想像をする。
ティーの『時間』に、私の『空間』を重ねる。
石床にも力を残して、思いを刻む。
ただ、アリアを護る為だけに。
本体が居なくても、貴女達がアリアを導いて。
私の欠片達よ。
見上げた空は、一日の終わりを告げる深紅色。
だから、私達が貴女に残す言葉は紅から始まる。
貴女の記憶に刻む歌がどうか、意味があるものだと伝わりますように。
今宵貴女に語る調べは、貴女一人に遺す音
紅染まる星空見上げ、思い出してね、愛の歌
三人のマリアの歌が重なる。
千の輝き消え去った後に産まれ、育む貴女は
狭間で何も知らずに夢を紡いで
二度と会えない、哀の歌
貴女は……貴女だけは、人間として、幸せに生きられますように。
迷いの森に光を照らせ、翳りは遠く時の砂へと
瞳を閉じて世界遮り、二度と会わない、愛の歌
それでもいつか封印が弛んでしまったなら、世界樹の下へ行きなさい。
勇者から受け継いだ神々の祝福を、エルフの長に気付かせるの。
ティーが託した『時間』を司る力でなら、きっと戻せる筈だから。
そして
光と夜の境に満ちて、巡る祈りは天の高みへ
辿れ、朽ち行く聖の先を
扉はきっと開くだろう
いつかきっと、この神殿に来て。
ティーの眼球で、私の『結晶』で、『扉』を開いて。
貴女の意思でしか、神々の世界への階は昇れない。
私達には、そこへ行くだけの翼が無いから。
道を示すしかできないから。
ここへ来て、アリア。
決して、闇に囚われたりしないで!
「私は『扉』。神々が眠る世界へと、アリアを導く階に刻まれた『扉』。マリアの本体や『鍵』である『結晶』とは、この瞬間に分離し、途切れた。でも、分かるのよ。本体は少しの間、ティーと一緒にアリアを育てていた。人
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