解かれる結び目 16
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とアリアの接触を回避する為の一時的な措置。その上、封印している間のアリアは人間同然だ。レゾネクト以外の脅威に対しても、人間と同様に無力となる。それは理解しておけ」
一時的。いつかは解けてしまう。
いつか必ず、アリアとレゾネクトが力で繋がってしまう。
そうなったら、この世界は。アリアは。
「やっぱり、そうするしか、ないのですね」
「恐ろしいか」
「はい。でも私は、大切なものを二度と失いたくない」
ベッドから下りて蔓籠の前に立ち、眠っているアリアに手を翳す。
可愛いアリア。
私の娘。
たとえ、ほんの少しの間だけだとしても、人間として、生きて。
私も、生きる努力はするから。
貴女と生きる為に、頑張ってみるから。
「ごめんなさい、アリア」
アリアの内に大きな力を感じる。
それを包み込む想像をする。
『空間』も祝福も、私達に連なる力はすべて、丸く閉じ込める。
そして、ティーが『空間』の時を、止めた。
背中の翼が消えた今のアリアは、無力な人間の赤子と変わらない。
「せめて、アリアに自我が芽生えておれば、すぐにでも神々が眠る世界へと道を示してやれたのだが。それまでに決着をつけるほうがまだ現実的だな」
私達の封印はきっと完璧じゃない。
何がきっかけになって、いつ弛むか知れないと考えれば。
この状況でアリアの自我を育てるのは好ましくない。
アリアの危険は生涯続いていくんだ。
根源を絶たない限り、これから先、ずっと。
「行くぞ、マリア」
アリアが眠る籠を左腕に抱えたティーが、右手を私の肩に置く。
行くぞ……って、瞬間移動をしろってこと?
「どこへ?」
「天神の一族が守護していた神殿。お主の家だ」
神殿。
懐かしい、黄寄り黒寄り白寄りと、様々な緑色に囲まれていた純白の……
「あまり見せたくはなかったがの。とりあえず、神殿の祭壇へ跳べ」
「? わかりました」
目蓋を閉じて思い浮かべる、神殿の祭壇。
代々の巫達が、神々の託宣を授かっていた場所。
ステンドグラスを透過した美しい光彩と。
精緻に描かれた壁画が、静かに見守っている空間。
ティーのこじんまりとした家から、広い屋内へと移動して。
簡易なローブの裾が。長い白金の髪が。
全身をふわりと撫でた風に揺れる。
「? 『風』?」
違和感に誘われて開いた視界に飛び込んできたのは。
火の粉を舞い上げて燃え盛る炎のような夕暮れ色に
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