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逆さの砂時計
解かれる結び目 16
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「……──っ!」
「これは……、ほんに困ったのう。あまり勧めたくない手段だったのだが、そうも言っておれぬようだ」

 立ち上がったティーが、アリアの頭上に手を(かざ)した瞬間。
 ティーの手を()()けるように、バチッと音を立てて火花が散った。
 その透き通った色彩に、ティーの表情が少しだけ曇る。

「ああ……!!」
「落ち着け、マリア。戻せば良いのだ」

 翳したままのティーの手から虹色の光が降って、小さな体を包み込む。
 いつの間にか目を覚ましていたアリアは、無言のうちに再び眠った。

「お主に声とやらが聴こえた理由は、恐らく()()であろうな。生来の性質で受け継いだ力のみならず、我の力をも取り込んでおるし。仕方あるまい」
「え!?」

 ティーの、時司(ときつかさ)の力を取り込んでる!?
 アリアが!?

「よく聴け、マリア。我とお主の力で、アリアの力を封印する」
「力を、封印?」
「お主の『空間』を司る力でアリアの力の領域を囲い込んで閉じた後、我が『時間』を司る力で、その『空間』の時を止めるのだ」
「……っ!? 無理よ! 片翼を失った今の私じゃアリアの力には及ばない。ティーだって、時間を止め続けるのは辛いって!」
「制御するのは辛いが、力をアリアに留めれば問題はない。そうだな……。『空間』を布袋、『時間』を紐と考えれば、解りやすいか? 瀕死の状態で紐を持ち続けているか、どこか適当な場所へ結び付けておくか、の違いだ。お主が『空間』を作るだけ作って放置できるのと同じ。その代わり、これは一度しかできぬ。いつか何かのきっかけで、紐が弛んだり解けたとしても、我にはどうしようもない。……お主には、これを返そう」
「……私の翼? と、羽根?」

 私が座っているベッドの下から、ティーが何かを取り出した。
 それは、レゾネクトに折られた私の片翼と、アルフが使った羽根。
 レゾネクトが使えないようにって、念の為に持ってきてはいたけど。
 今更、これをどうしろと?

「手で持て。そう。しっかりな」
「!」

 私の腕の中で、翼と羽根が虹色の光に包まれて……消えた?
 違う。私に戻ってきた。
 力の一部として、私の中に戻ったんだ。
 ティーが翼と羽根の時間を巻き戻して、私に繋げた。
 翼と羽根が形を失い、欠けていた力が私に戻ってきた。

「今の我では、完全には戻せぬがの」

 翼と羽根は、力として私の中に戻ってきただけ。
 片翼は具現せず、失われたままだ。
 でも、全部じゃなくても戻った。

 今なら。今の半端で不安定なアリアなら、私でもなんとか抑えられる。
 それに、多分……もう一度、()()()

「封印はレゾネクト
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