月下に咲く薔薇 6.
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らしというより任務だと言って外に連れ出した方がいい」
「よくわかってるじゃないか。あんたがいてくれて、助かるぜ」
ZEUTHの要の1人に敬意を表し、クロウはロックオンに代わって礼を言う。もしこの場にあの男が居合わせていたら、きっと彼もロジャーに礼を告げずにはいられなかったろう。
「クロウ」と、今度はロジャーが真顔で改まった。「今ここで聞いた内容を誰に話そうと、それは君の自由だ。君自らが判断し、その良心に従って行動してくれたまえ。私は君を信頼している」
「ありがたいねぇ、そう言ってもらえると」そこでやめようかとも思ったが、クロウは急に若干の言葉を付け加えたくなった。「ま、悪いようにはしないさ。信じてくれるっていうのなら、尚更にな」
徹底的に気が済んだので、クロウは自分から先に踵を回して歩き出す。
「また後で会おうぜ」
「扇とロックオンを捜しに行くのか?」
「いや。そっちはあいつが上手くやる筈だ。ちょっくら俺は、コーヒーでも差し入れてくる。ゆうべやり損なっちまったんでな」
「そうか」
ロジャーは、それ以上は訊かなかった。或いは、それがティエリアの為だと察したのかもしれない。
自販機の前を素通りしかけて引き返し、缶コーヒーを1つ買う。熱いその缶を軍用コートのポケットに入れ、クロウはティエリアに宛がわれている部屋を目指した。
最近のティエリアの心中を察し、スメラギはティエリアを1人にさせている事が多い。時間が必要だと判断したソレスタルビーイングの仲間達もそれに同意し、ここバトルキャンプではティエリアが1人部屋を、刹那とアレルヤ、ロックオンとクロウが2人部屋を使っていた。
なるべくさりげなく渡してやろうかと考えていると、やけにきつい表情をしたティエリアが変装用の私服姿で自室のドアを開ける。
「おっ、ティエリア。おはようさん。コーヒーでもどうだ?」
「…善意ではあるまい。いくら欲しい?」
何故か、いきなり金の話になった。足早に近寄り、少年の眼前にコーヒー缶を差し出しただけだというのに。
「こいつは俺の奢りさ。俺達だけの警護じゃ人手が足らなくなったんでな。いきなり助っ人を頼まれたお前さんに、俺からの詫びって事で」
「それは理由になっていない」ティエリアが、半端な説明をぴしゃりと拒絶する。「しかも、20人以上で市街地に行くだと? それが何を招くのか、わかっているのか!?」
「ああ、勿論だ」ここは一番締めてかかりたいと、クロウもティエリアの目を見てしっかりと返す。「だが、やるっきゃないのさ。仲間の為だ。で、今回お前さんにも引き受けてもらわないと困る役割がある」
「…ロックオンは?」
「今、あと1人仲間を増やすってんで、扇の説得に行ってる。その後みんなでお出かけだ。来るだろ?」
「行くしかあるまい。それが、ミス・スメラギ
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