月下に咲く薔薇 6.
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金髪のガンメン乗りとクロウの目が合った。
お茶目心で意味深にニッと笑って返すと、男は慌てて食堂の端からガロードに話しかける。
「ガ…、ガロード。何ならお前も飼ってみるか? ブタモグラ」
キタンの提案は誤魔化し半分に聞こえるが、半分しか占めていない分、残りは本気の善意で出来ている。
ティファの視線を奪い返してはどうかとの提案に、ガロードは全開で首を横に振りまくった。
「いや。俺が動物の世話なんて。自分の事ですぐいっぱいいっぱいになっちゃうから」
「もっと連れて来ればよかったかな、ブタモグラ。ブータは全然手がかからなくて、世話しやすいんだ」
シモンとしては本気で勧めたいのか、飼いやすい部分を強調する。
「ティファさん。毎日ブータさんと、何を話しているんですか?」
ティファの側にガロードがいるように、シモンの側にはニア姫の姿が常にある。
「色々」笑顔の絶えないニアに対し、ティファは目と口元だけの笑みでそう答えた。「今日のシモンの様子とか、みんなの様子とか。でも、時々言葉に聞こえなくなるの」
「多元世界とインペリウムの影響さ。気にする事はないさ、ティファちゃん」
野暮を承知で、クロウは子供達の話に敢えて割り込む。そして、子供の側に立ち続けている大人に、目線で場所を移すよう提案した。
「わかった」そう呟いたロジャーが、別れ際にティファへ「大丈夫だ。あの件については、今後も私達が張り付く」と念を押して席を外す。
咄嗟にクロウは、仲間達の表情に釘付けとなった。
が、ロジャーの言葉からその意味を察したと思われるのは、ティファとガロードのみだ。キタンとニア姫、そしてシモンさえもが、きょとんとした顔で反応に迷う。
クロウの前を通り過ぎるロジャーが、「来たまえ」と後に続くよう小声で囁いた。
「ああ」
クロウはロジャーの後ろにつくと、彼は最も人通りの少ない非常階段でその歩みを止める。
尋常ならざるやり手を相手に、遠回しな段取りを組むのは時間の浪費でしかない。そう判断したクロウは、いきなり立ち聞きした話をロジャー本人に突きつける事にした。
「ティファちゃん、なんだな。あの打ち合わせの最中に何かが起きるって心配してたのは」
「そうだ。しかし、君も知っているように何事もなく終わっただろう。この多元世界ならではの特異な環境が彼女の超感覚に干渉している。それだけの事なのだ、と私は考えている。何も心配する必要はない」
「さぁて、その火消しが本当の狙いなのか、それともあんた自身が何か不安を抱えているのか。聞いちまった俺としては、もう少し囓りついていきたいところなんだが」
「しつこいな、君にしては」
窘めるような口調だが、このネゴシエイターは、話しぶりにどうしても感情が乗ってしまう。最早、相当に重い何かを秘めている事は疑いよう
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