Fate/stay night
1106話
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血の海に沈んでいる男子生徒を眺めていると、不意に背後から走ってくる足音が聞こえてくる。
誰だ? なんて思う必要はない。間違いなく凛だろう。
この光景を見て、どう思うんだろうな。
凛は基本的に魔術師としての自分にウェイトを置いている。
つまり、こう言ってしまっては少し極端だが、日常生活を送る凛は演技をしていると言ってもいい。
そんな演技の世界の住人がこうして凛の本領である魔術師の世界に顔を突っ込み、命を失い掛けている。
普通の魔術師であれば、特に気にもしないだろう。精々学校内で殺人事件があって面倒な事になりそうだ、と思うくらいか。
けど凛は何だかんだ言って面倒見がいいし、優しい性格をしているのも事実だ。
例え表向きの演技をしている世界の住人であっても、こうして命を失ってしまえば悲しみを覚えるだろう。
「はぁ、はぁ、はぁ。……アークエネミー……」
到着した凛の言葉に、首を横に振る。
そんな俺の様子を見て、一瞬息を呑む凛。
それでも数度の深呼吸で表面上は落ち着きを取り戻し、視線を床で倒れている男の方へと向ける。
「……せめて、死に顔くらいは看取って上げるわ」
そう言い、そっと顔を確認し……その瞬間、凛の顔が強張り、動きが止まる。
「ちょっと、止めてよね。あんたが死んだら桜は……」
「凛?」
「…………」
俺の言葉に無言を返し、じっと倒れている男の方へと視線を向けている。
その様子に疑問を覚え、顔を覗き込むと……そこにあったのは、俺にも見覚えのある顔だった。
昨日の夜、ビルの屋上で見た地上を歩いていた男だ。
確か、その時も凛の様子が変だったけど……もしかしてそういう関係なのか?
それならここまでショックを受けているのも分からないではない。
そんな風に思っていると、凛は懐からネックレスを取り出す。
そのネックレスには見覚えがあった。
恐らく俺が凛に召喚された原因でもある触媒。
俺と凛が何らかの関係を持っているだろう証。
ただし、凛が持っているのは俺が持っていたネックレスではない。見ただけで分かる程の魔力が籠められているネックレス。
恐らく俺の持っていたネックレスがこの時代にあった時のものだろう。
ちなみに、俺が召喚された時に持っていたネックレスは凛の家に保管してある。
何でも、あのネックレスを調べれば俺と凛がどういう関係であったのかが分かるかもしれない……らしい。
もっとも聖杯戦争の最中にそんな事を調べていられる筈もなく、まだ手を付けてはいないんだが。
聖杯戦争が終わった後で調べるらしい。
本来であれば聖杯戦争が終わればサーヴァントは英霊の座へと戻る。
ただ、俺の場合は理由は不明だが何故か既に受肉している状態だし、更に
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