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101番目の舶ィ語
第九話。『音速境界』
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なんてことだ。生身で音速に至るとはどんな化物だよ?
……あんまり人のこと言えないけど。

「なるほど。『想起跳躍(リンガーベル)』!」

一之江は再びその言葉を発し。
一瞬で俺の横に回ったが……そこには既にラインの姿はなかった。

「無駄じゃよ。わらわはどんな速度のものにも負けずに追いつき、追い越す伝説じゃ。それがわらわのロア______」

「『ターボ婆さん』なのですね」

ラインに向けて一之江はその名を口にした。その噂なら聞いたことがある。
人気のない山道をバイクで走っていると、凄いスピードで並走してくる老人がいて驚く、とかいうものだったはずだ。慌てて見直してみると、そんな老人はいなくなっており、見間違いかと思って前を見たら、目の前にいてさらに驚く。
確かそんな感じの都市伝説だったはずだ。
だが一之江の言葉に引っかかる部分があった。

「……婆さん?」

「最近じゃと『境山のターボロリババア』と呼ばれておるな」

「ロリババアって」

なんだそのジャンル?

「あざといジャンルですね」

「そういうな。境山でツーリングするライダーなどには、老婆が追いかけてくるよりも喜ばれておるのじゃぞ?」

そりゃ、ババアより見た目が若いロリっ子の方がいいのかもしれないが……それでいいのかよ?

「フッ。これでメリーズドール最大の能力を封じたことになる」

氷澄の得意げな声で現実に戻れた。
悪いな、氷澄。
お前の存在ちょっとばかし忘れてたぜ。

「あとはお前の『(エネイブル)』としての能力だが……ライン相手ならそれも封じたに等しい。
俺が得た情報では普段のお前は自由自在に能力を使えないようだからな。
コイツが変身するのは若くて可愛い女限定だからな!
フッ、『(エネイブル)』ここに敗れたり!」

「……それはどういう意味じゃ氷澄?」

「ライン相手では発情しない、という意味だ。コイツがいくら女好きのたらしだとしてもババア相手に発情したりしない……はずだからな。『百物語』に関しては未だ能力が使えない。
従って、コイツが持つ最大の能力……HSSさえ気を付ければ取るに足らん相手だ」

氷澄が放ったその言葉に思わず固まってしまった。
コイツ……今なんて言った?

(知ってるのか?? HSS……ヒステリアモードのことを……??)

コイツは俺や一之江の情報を掴んでいる。
一之江の能力がバレていて、対策されていて、なおかつ俺にも詳しい。
ロアは、情報量が多い方が強い。その点でも、俺達は圧倒的に不利だ。

「能力が使えない『主人公』……それが生き残る道などない!」

「それじゃ、とっととやっつけるかの、氷澄?」

「ああ、やるぞライン」

その言
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