第十二話:傾かぬ
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い部分ではまどろっこしくもなるだろう。
まあコイツに限っては善意や効率だけでは無く、もしかしなくても自分が考えた名前を、定着させたいってだけだろうが……。
「ふむ、では何と呼ぶのだ?」
「【A.N.G】とかいて『アンジェ』と呼ぶのがいいと思います!」
「アイツら天使が、英語で “angel” だからか?」
「ノンノン! 【Avatar of Nolife Girls】の頭文字を取って【A.N.G】だよ!」
「…… “生きていられない女の子達の化身” か? ちょっと意味が違うと思うが」
「違うよお兄ちゃん、直訳しちゃダメっ! ちゃんと意訳して “死せる乙女たちの外装” にしないと!」
何が自慢で胸を張っているのかは知らないが、俺はお前に今ビックリしたわ。
そんな単語がスラスラ出て来るばかりか、意訳まで並べられるとは。驚かない方が無理だろう。
その才能を英語の授業の方面でも生かせれば、少なくとも赤点ラインからは脱却できるだろうに……心底残念な奴。
「まあそれでいいんじゃないか?」
本音としてはもうそれ以外思いつかないし、考える気も無いから如何でもいい、だから「それでいい」が正解だがな。
兎に角名前も決まり、話は再開される。
「その【A.N.G】を生み出してしまったのはワシにも責任がある。 腰に痛みが走ったとはいえ、ノートを火の中に放り込んでしまったのだからな」
何と作り出したのは楓子でも、直接の原因は親父らしい。協力的だったのはこう言う理由もあったのか……。
「……京平には霊的な力を全く感じない。珍しいとも言えるそんな存在により、聖邪混沌の儀式が行われたからこそ、【A.N.G】が生まれる可能性がより高まったのだと推測される」
やはり呼びやすいのか、すぐに定着したな。
「出来ればワシが手伝ってやりたいのだが……しかしもう正《婚約》を終えた事になってしまっていて、しかもワシの年齢では資質に当てはまらんのだろう?」
「うん、十代男子に限るって書いちゃったからね、あたし。この家で当てはまるのって、兄ちゃんとギリギリで “あの人” ぐらいかな」
楓子は嫌がらせを続けられた俺と違って、実に淡泊に接されていたにもかかわらず、長男をえらく嫌っているようで、どの状況をもっても “あの人” としか呼ばない。
「だが泰平は大学に行ったっきりで帰省せん。オマケにもう終わっているとなると、やはり麟斗しかいない訳か」
「……いない訳」
「ワシとしては我が子を危険な戦場へ行かせるなど、些か負におちんのだが……のう、何とかならんかね?」
「わっ、パパ勇敢! 感動したっ」
おお……俺もだ、ちょっと感動した。
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