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SecretBeast(シークレットビースト)
本編 第二部 
「天と海、そしてそこに潜むもの」
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らいつくつもりなんだ』
『一かバチかだな、よし行こうぜ。豊村!』
『ああ!賢治。全機突入!自由落下開始』
 4機の戦闘機は一旦上昇したあと、そのまま、渦の中心へ自由落下し始めた。帰りの燃料を考えると、ここであまりスラスターを使うわけにはいかない。3機は、
エンジンを切って重力に身を任せた。
 どれくらい落ちたろうか。一時間落ちてもまだこの深い渦の中心は続いている。だが確実に4機は目標に近づいている実感が湧かない、無限に時間がながれ、物理法則にしたがえばどんどん加速していっているはず、その証拠に機体の温度はどんどん上昇して機体の先端が熱く燃え始めている。
 この果てしない巨大な空間に戦闘機という木の葉一枚にも満たない紙切れで突き進むことがどれほど勇気がいることか説明のしようがないほどだ。
『豊村!見ろ!』
 賢治の指さした方向にそう水の壁のむこうに目を凝らすとだんだんとそのシルエットが見える。
 はるかに巨大だ、その尾は、太く果てしなくとぐろを巻きながらこの水の壁をぐるりと周りそして遥か下方へ伸びていくその終わりは見えない。その影が水の壁に闇を落としている。その巨大な姿は自分たちの戦闘機をその巨体を惑星だとするならば、細かい粒子の粒くらいにしか見えないほどだ。それが波打って揺れている。
 頭部は絶えず中央にあり、その目玉だけでも水の壁の向こうから見ると大きすぎて捉えられないくらいだ。しかし、その両眼は絶えず4機の戦闘機を凝視し恐れを抱かせる。はっきり言って海の渦の中から歪んでみえるその凄まじい姿は恐怖意外のなにものでもない。
 そしてそいつはこちらの視線気付いたのか、凄まじい咆哮を挙げて牙をむき出しにして敵意を露わにした。何かわからない黒い化け物が眼を光らせて荒ぶっている。
 いつその顎は開かれ4機をまる飲みにしないか分からない。
『見るな!あんまり見ると精神をやられる』伊佐は皆に注意を促す。
 そのとおりだ。今や奴を見ているだけで奴の想念を直接、頭にぶつけられてるようなものだ。
 そしてふと伊佐がこんなことを言った。
「・・・・・・なんて深い憎しみなんだ・・・・・・」
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