第3章 リーザス陥落
第55話 レッドの町の鬼門
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小さな抵抗軍だが、兵力で圧倒的に優っている筈のヘルマンが壊滅出来ない最大の理由。それは、ここに集っている三強のせいなのである。
「しっ……」
何かに気がついた様で、清十郎は口元に指を当てた。外が騒がしくなっている様だ。
「……何かあったか?」
「みたいだな……。でも何が……? これまでは 無かったぞ」
「ひょっとしたら、外からかもしれないね。リーザスが指をくわえて見てるとは思えない」
ユランは、口元に手を当て……そう考えた。無い話ではない。何故なら知り合いがリーザス軍にいるからだ。それはユランも知っている実力者。
「レイラも、居る筈だしな……」
ユランの声は小さく消え入る程の物だった。
彼女、が言うレイラと言うのは ユランの友であり、屈強な戦士でもある。彼女はリーザス親衛隊隊長をも勤めているのだから。
「……もう少し数が減ったら行くか?」
「ああ。判った。ユランも良いか?」
「……あ、ああ。問題ないよ」
歯切れが悪い返事だったが、直ぐに表情を引き締め直した彼女を見て安心をした様だ。2人の男と女、そして奥で隠れている戦えない一般人10数名と戦える戦士数名。一気に出てしまえば、潜伏先がバレてしまう恐れがある為、先陣を切るのはこの3人と言う事になった。
〜ラジールの町 入口〜
それは遡ること1時間前。
決戦を控えた面々は、町の外で一時集まっていたのだ。そう、マリアの新兵器 チューリップ3号のお披露目も兼ねて。
「おはよう! 皆っ」
マリアがその場に一番乗りだった様だ。腰に手を当て笑顔で皆を迎えていた。……後ろにある巨大な鉄の塊。間違いなくこれがチューリップ3号なのだろう。
「なんなのだ? この鉄の塊は?」
ランスは、ずんずんと近づきながらそう聞く。傍に寄れば寄るほど大きな塊だ。
「昨日見ただろ。これがチューリップだろう。あの工場で作ってた」
「そのとーり! じゃじゃーーんっ! これが今世紀最強の無敵戦車! チューリップ3号よ」
マリアは両手を広げながら解説した。
……装甲に本物のチューリップの絵柄があるのはご愛嬌だろう。
「ふーん、これがか」
「……近くで見たら尚更デカイな」
更に近づくランスと、全体を満遍なく見つめているユーリ。
そして、ランスはそのまま近づくと……、何を思ったのか、その鉄の塊を殴っていた。
「いてっっ!」
「……馬鹿。当たり前だ」
苦笑いをしながらそうつっこむユーリ。ランスは格闘家と言う訳じゃないんだし、喧嘩するとしても、拳を鍛えている共思えないのだ。……鉄をそのまま殴ってしまったら、暫くは鈍い痺れは取れないだろう。
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