第3章 リーザス陥落
第55話 レッドの町の鬼門
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てる。今回ばかりは無茶は……」
「判っている。戦況が読めんほど、オレは無能ではない」
目を閉じ、そう言う。
今、飛びかかった所でどうなるのかは火を見るよりも明らかだ。確かに、この男はここまでの大規模戦争を経験した事が無い。……だが、戦略の類を選定する事は十分出来るのだ。1人だけならまだいい。だが、人数で動くとなれば、勝手な行動は出来ないだろう。
「ここは悔しいが、待つしかなさそうだ。決定的な隙を見つける為にも」
「……」
その男のすぐ後ろでもう1人、男が控えていた。
男の姿をじっと見る。先ほどの戦いでもそう。この男の力量を見ていたのだ。
「お前、かなり出来るな。……先ほどの戦い、見事だった」
「ああ、それはどうも。そっちこそな」
男同士でそう言いあう。どうやら、互いが互いを認め合っていた様だ。
「そういやあ、私達って互いに自己紹介してなかったよな? まぁ 君は知ってるけど」
「……そう言えばそうだな。オレもコロシアムに一時はいた人間だ。お前の事は知っている」
「そりゃ光栄だね。アンタみたいに強いヤツに当たらなかったのは心残りだよ」
「はは、勇ましいお嬢さんもいたものだな」
軽く笑いあった後。片方の男が、手を差し出した。
「オレはアリオス。アリオス・テオマンだ。まだ、未熟でこの剣も使いこなせていないが、一応勇者となっている」
「……勇者、ね」
訝しみそうになるが……、とりあえずそれは置いといた。元いた自分の世界で、勇者を言う者は今時子供でもいない。
だが、ここは、この世界は違うのだ。
剣と魔法、そして 大国同士が絶えず争い、且つ人外がいる世界。嘗ての世界とは、次元がかけ離れすぎている。いや……、技能と言う面ではそうも言えない所はあるが……、とりあえずそこは置いとくとしよう。
「君は?」
「ああ、オレの名は清十郎。神無城 清十郎だ」
そう言って手を握った。
――……この世界は面白い。死と隣り合わせ、いつでで死合う事が出来るというものだ。そして、以前では考えられもしない事もある。
清十郎は、手を、握った手を見て思う。
「(これが、戦友と言うものか……)」
心の中で、それが沸々と湧き出ているのだ。
他人など、そして、特にその中でも無能な者を家畜とまで言い切っていた自分が。全てはこの世界にきて、そしてあの男に出会ってからだ。
「くくく……、最後までオレは付き合おう」
「ああ。オレも困っている人は放っておけない性質でね」
「これが終わったら、盛大に打ち上げをやろう。こいつらを全部ぶちのめしてね。ああ、知ってるって言ってたけど、一応私も名乗っとくよ。私はユランだ。ユラン・ミラージュ」
十数人規模の
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