013話
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だろう。
「一つお願いしてもいいだろうか」
「なんだ」
「明日のタッグマッチ、貴方の本気を見せてほしい」
「―――ほう?」
思わず口角を吊り上げ笑みを作るジーク、未だこの世界に来てから全力というものは発揮していない。筋力という意味での全力は何回か発揮しているが全てを出し切るという意味での本気を出したことは無かった。
「それは、俺の今までの戦いぶりが不満だからか?」
「いやそう言う訳ではない。この際言っておく、俺は貴方を警戒している」
単刀直入、何の回り道も無く言ってきた言葉にジークは静かに耳を傾けた。
「ギンタの言うとおり善人である事は間違いない、だが目的は不明瞭しぎる」
「それはドロシーもじゃないか?」
「彼女はARM集めという名分がある。事実今回の試合では相手のARMを奪っている、そして貴方と行動を共にするという目的も」
「俺の目的、ね」
目的はあると言えばあるだろう、建前である記憶を探す為。だが真の目的などありはしない。自分はこの世界の住人として転生を果たした、そしてこの世界が崩れるのならば自分は再び死ぬ事になるだろう。詰る所は自分の為に戦っているということになる。
「言うなれば、俺の為だ。世界が崩れれば俺も死ぬ事になる、生きる為に戦う、それだけだ」
「成程」
「それに、世界を救う位の度量が無きゃドロシーを幸せに出来そうにないからな」
少し照れながらも理由を述べるジークにアルヴィスは少し笑った、彼から見たジークは何処か堅苦しい武人のようなイメージだった。それは合ってはいるが今は違う、これが彼の素なのだろう。自分と惚れた女性が安心して過ごせる世界を守る為に戦う、それが彼の理由。
「少し安心しましたよ、では明日は期待してます」
「ああ、この剣と俺の真の力を見せてやるよ」
「楽しみにしてますよ」
そういって去っていくアルヴィス、彼が去るのを確認してから再び月見を再開するジーク。そしてアルヴィスとの会話で改めて自分がドロシーに惚れているのを再確認してしまい少し頬を染めながら酒を一気に飲み干すのであった。
「………人を好きになるって素敵な事だな」
「そうねジーくん♪」
「どわぁっ!?」
下から箒に乗って上昇してきたドロシーに驚き立ち上がるジーク、そんな彼を見て悪戯的な笑みを浮かべる魔女。
「私も一緒にお月見してもいいかな?」
「あ、ああもちろんだ」
改めてドロシーと共に座りなおし共に月を眺める、こうして二人で月を見るとキスをしそこなったあのときの事を思い出す。ドロシーもその事を思い出しているのか周囲にギャラリーがいない事を念入りに確認している。
「ねぇジーくん」
「んっなんっ(チュッ)むう」
振り向いた先に待っていたのは端麗で可憐なドロシ
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