Fate/stay night
1105話
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来るんだろうけど、俺の場合は普通に壁とかを避けていかないといけない。
そうなるとステータスで俺の方が上だとしても、どうしてもこっちの方が不利な訳で……
校舎の中に入り、耳を澄ます。
幸い、夜の校舎だけあって音を出す存在は限られている。逃げる為に走って行くような足音を出す人物なんか、さっき逃げ出した相手しかいないだろう。
そして耳を澄ましていると、すぐに校舎の中を走る足音が聞こえてきた。
ちっ、結構離れているぞ。逃げ出した奴も、もう少し近くにいればいいものを。
舌打ちし、そのまま床を蹴って移動する。
これもまた、夜の校舎で誰もいなかったからこその幸運。
俺が人間には出せないくらいの速度を出して走ったとしても、誰かにぶつかるような心配はいらない。
そうして、みるみる足音の聞こえてくる方へと近づいていくと……
「悪いな」
その一言と共に、刃が肉を貫く音。
聞こえてきた声は、間違いなく先程まで俺と戦っていたランサーの声だ。
つまりは……そういう事。
走っていた足を止める。
既に死んでいると決まってしまった以上、急いでも無駄だろう。
寧ろ、この場でランサーと再会する方が色々と危険だ。
死体すら残らないのは、色々な意味で哀れ過ぎる。
そう考え、血の臭いがしてくる中ゆっくりと歩く。
やがて強い鉄錆の臭いの中を進むと、そこには床に倒れている男子生徒と槍を手にしたランサーの姿があった。
「……じゃあな」
「ああ」
短くそれだけ言葉を交わし、ランサーは霊体化して姿を消す。
それを見送り……俺は急いで走る凛の足音が聞こえてくるまで、血の海に沈んだ不幸な男子生徒へと視線を向けるのだった。
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