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DIGIMONSTORY CYBERSLEUTH 〜我が身は誰かの為に〜
Chapter2「父を探して 山科悠子の依頼」
Story8:『山科悠子』の依頼
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んどの機能やサービスを利用できなくなってしまう。

 俺が暮海さんの言葉に反応しそう言い返すと、暮海さんは首を横に振った。


「現在キミのアカウントは、EDENネットワーク上で正しく認識されていない状態だ。そのため、通常手続きでEDENにログインできない」

「そ、そうなんですか? それじゃあ…」

「そう、コネクトジャンプで“侵入”できるとしても、不正なアカウント扱いでは、まともにサービスを利用できまい。そのような状態では、職務にも差し障る。今後は、用意した新規アカウントでログインしたまえ」

「りょ、了解です」


 しかし、今回もそうだし、母さんへの連絡も、衣食住の確保の件も、色んな事が暮海さん任せだな…少し申し訳なくなってきた。


「そんな顔をするな。先程も言ったが、職務に差し障ってはキミも私も困るだろう? それを未然に防ぐためだ」

「な、なんでわかったんですか!?」

「ふふ、探偵をあまり侮らないほうがいいぞ?」


 それに、と暮海さんは続ける。


「こんな事で迷惑をかけてるなんて思わないことだ。キミは私の助手で、私はキミの上司にあたるのだから」

「は、はぁ……」


 なんか、ツンデレっぽく聞こえるのは気のせいだよな。この人に限ってそれはない…よな?


「さて……そろそろ時間だな」

「時間…? 何か約束でもあるんですか?」

「ふふ…“仕事”の時間だよ、助手くん」


 “仕事”、その言葉を頭で理解した瞬間、探偵事務所の出入り口の向こう側から、控えめな女性の声が聞こえてきた。


「あの……暮海…探偵事務所は、こちらでしょうか…?」

「約束した時間通りか。ふっ、なかなか優秀な依頼人のようだ」

「く、暮海さん!? そういうのはもうちょっと控えめに…!」

「ようこそ、暮海探偵事務所へ。どうぞ、お入りください」


 少し慌てる俺もどこ吹く風とでも言わんばかりに無視し、扉の先にいるであろう女性を声で招き入れる。
 そして扉を開けて、「失礼します」と言って入ってきたのは―――セントラル病院で出会った、「悠子」と呼ばれていた黒髪の女性だった。


「あっ…! あのときの…!」

「……!! あなたは……」

「ほう? キミたちは知り合いか?」

「……いえ…知り合いと言うほどでは」


 少し困ったような表情で、そう言ってくる「悠子」さん。俺はその間に、暮海さんの側へより、できる限り小さい声で囁いた。


「(この人、セントラル病院で『EDEN症候群』について話してくれた人です。岸部リエとも面識があるようで、岸部は彼女を『悠子ちゃん』と呼んでいました。なんでも、カミシロに世話になっているとか)」

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