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俺と乞食とその他諸々の日常
三十五話:目覚めと日常
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おまけ? 〜リヒターが強かったら〜

「アインハルト・ストラトス……参ります」
「……来い」

 碧銀の髪が宙を花のように美しく舞い踊る。
 されど彼女の拳は獣の牙より鋭く、弾丸が如き速さを持つ。
 当たれば怪我ではすまないそれを彼は最少の動きで避ける。
 そこには焦りなど存在せずただなすべきことを無しただけという無感情さだ。

「逃がしません!」
「ッ!」

 だが、そんな彼と戦う彼女も避けられたことに驚きなどない。
 否、避けてくれねば興醒めだ。
 柔らかくしなる腕を使い死角から裏拳をもって襲い掛かる。
 ここまでは彼女の予想通り。だがそこからが予想の範囲外だった。

「甘い!」
「見ずに避けた!?」

 彼は振り返ることも目を向けることもなく彼女の攻撃を避けてみせた。
 そして、そこで生まれた僅かな彼女の動揺を逃すことなく両手に持つ二本のサーベルを振るう。

「ティオ」
「にゃあー!」

 しかし、彼女もそこでやられるようであれば最初から戦いなど挑んでいない。
 相棒のティオの補助によりダメージを軽減し、僅かなロスだけで食い止める。
 そこからすぐに反撃へと転じる彼女は流石といえよう。
 だが―――僅かな隙であっても彼は逃さない。

「頂くぞ」
「しまっ…!」

 本来、剣を獲物として使う者にとっては不利である近すぎる間合いから強引に腕を振るい勝負を仕掛けに来る彼。
 その行動に驚愕の表情を浮かべる彼女だったがその間合いは彼女にとって本領を発揮できる間合いでもある。
 すぐに迎撃の構いを見せ拳に魔力を溜める。

「はぁぁあああっ!」
「ふっ!」

 剣と拳。刹那の差で先に届いたのは彼の剣だった。
 そして無残にも切り裂かれたのは―――

「またつまらぬ物を斬ってしまった」
「だからなんで女の子の服ばっか斬るんやー!」

 アインハルトのバリアジャケットだった。
 強烈なドロップキックと共にツッコミを入れてきたジークの言うようにリヒターは相手のバリアジャケットを切り裂くのを趣味としている。
 勿論女子限定で。

「問題ありません。チャンピオン」
「ハルにゃんも無理せんでええって―――だ、大事な布だけ残っとる!?」
「やるな、アインハルトちゃん。それでこそ我が好敵手だ」
「感心するとこちゃうやろ!」

 何やらドヤ顔のアインハルトに感心した表情のリヒター。
 もはや、ジークの頭は何が常識かを知るすべが残されていなかった。

「歴代最強にして最も残念なチャンピオンって言われる理由がようわかったわ……」
「それ、お前も含まれてるからな」

 リヒターからのツッコミを敢えて無視してジークは深くため息をつく。
 どうしてこんな相手に惚れて
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