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歌集「春雪花」
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 長々し

  川の流れの

   絶え間無く

 冷々し夜を

    独りかもねむ



 どこまでも続く川の流れは絶え間無く…長い年月変わらずにあり、これから先もそうなのだろう…。

 そんな長い年月のように感じてしまう彼のいないこの寒く長い夜を、私はいつまでも一人で眠らねばならないのだろうか…。

 秋の夜長…彼を想い続ける…。



 木の葉月

  来たりて山波

    染めにしも

 来たらぬ侘しさ

   染め得ざるなり



 十月が訪れ、一段と山並みが紅葉で染め上げられてゆく…。

 それは美しく、見る者の心を豊かにしてはくれるが…彼に会うことも出来ず、彼が会いに来てくれよう筈もない私のこの侘しさまでは染めてはくれない…。

 秋が深まり山並みを染め上げてゆくほど…私の心は寂しさに覆われてゆくようだ…。




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