prologue memory
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「終わったか。」
リンはそう言って呟くと地面にへたり込んだ。それを聞いてフォルツもはあ、とため息を吐いた。ライトはしゃがみこみ、リンはふうと立ち尽くし、サナははあ、とため息を吐いた。
終わった…。けど。
「…血が飲みたい。
サナさん…貴女の血も飲ませて…。」
「え…?」
「させるか!ボケェ!」
サナにそう言ってフォルツは近寄ろうとすると不意にそれを聞いて起きたライトからタックルを貰い吹き飛ばされる。
そうしてフォルツのトランスも解除される。そんな中ライトはサナの前で仁王立ちすると。
「させるか!サナの血を飲ませてヴァンパイアの花嫁なんかになったらどうするんだ??
《そ、それにサナの血なんて飲ませてたまるか!》」
「お前は唇を奪われたけどな。」
リンとライトがそうツッコミをいれている間にフォルツはアリスに近寄って。
「アリス…。」
「血が飲みたいんですか?」
アリスがそう問いかけるとフォルツはこくんと首を縦に降る。そのフォルツの瞳はトランスを解いたのにも関わらず紅く染まっていた。
ヴァンパイアの力が暴走している。その証だった。
「…。」
アリスはすっとローブをはだけさせて首元を見せる。
そうしてフォルツはその首元を一回ペロリと舐めて。
「…??」
アリスの陶磁器の様な首元に噛み付いた。ヴァンパイアの花嫁になると首元を噛み付いても痕が残らない不思議があった。
だからアリスの首元は綺麗なままだった。
「…フォ…ルツ…。」
アリスはそう言って痛みをまぎわらせるためにフォルツに抱きつく。そうしてフォルツははっと気がつくと噛み付くのをやめて。
「…すまない。」
「…だい…じょうぶです。」
アリスはそう言って目で制する中、ライトとリンはそれを見てぽかーんとしていたのでフォルツはアリスを抱えると。
「すまないが…。お前らの拠点。貸してくれないか?」
フォルツはそう言って珍しく頭を下げた。
「アスモディウスに続いてレヴィアタンも…。」
とある荒野の廃城の中。玉座に頬杖を突きながらぼそっと呟く一人の40代くらいの剣士。
かつては最強と呼ばれた剣士。その剣士はふと重い腰を上げる。
それはかつてないほどのプレッシャー。そして圧倒的な恐怖。理不尽な強さ。
その全てをこの剣士は纏わせる。
「…。あの2人が殺られた。
だからどうした。」
スパ。
次の瞬間。まるで抜けた様な音と共に城が一瞬でバラバラに斬れた。
その巨大な廃城が一瞬で。
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