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古城の狼
10部分:第十章
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まれ青い目をした狼だ。
 僕はその目を何処かで見た気がした。そしてその目を見た時動きが止まった。
 動けない。まるで金縛りにあったように。そして狼はその間にこちらにゆっくりと歩み寄る。
 狼が跳んだ。僕に襲い掛かって来る。
 そこで僕の目が覚めた。不意にベッドから起き出す。
「・・・・・・夢か」
 やけに生々しい夢だった。見れば全身から汗が噴き出している。
「そんなに暑くないってのに」
 むしろ寒い位だ。ヨーロッパは日本に比べかなり寒い。
 僕は窓を見た。そこには相変わらず月が輝いている。
「それにしても狼なんてな」
 僕は一言そう呟いて苦笑した。
「話を聞いてすぐに夢に出て来るなんて」
 窓の方に歩いた。
「幾ら何でも気にし過ぎだな」
 暫くしてまた落ち着いてきた。僕はベッドに戻った。
 そして再び眠りに入った。そして朝まで眠りに入った。

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