第六十話
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「アオさんっ!?」
俺の拳骨にシリカも戸惑う。目の前の少女は尚更だ。
「あ、あの…なぜわたしは殴られたのでしょう…」
「殴りたかったから」
「はぁっ!?あなたは初対面の人間を殴りたかったからって言う理由だけで殴るんですか!?」
いや、まあ本当はダンジョンでPTを抜けて一人で何やっているんだ!とか、複数の敵に単体用のソードスキルを使ってどうするんだ!とか、俺が来なければ死んでいたかもしれないんじゃないか?とか、まあ他にも色々言おうとしたのだけど、えらそうなSEKKYOUはしないと決めているので言葉を飲み込んだ挙句、取り合えず拳骨を落としておいた。
「いや、まあそれはいいでしょ」
「良くありませんっ!」
ウガーと吼える少女。
「それより、君はソロでこんな所で何しているんだ?逃げ場の少ないこう言ったダンジョンでソロは命取りだよ」
「それはあなたに関係ない事じゃないですかっ!」
「確かにね。とは言え俺は迷宮区に入る予定なんて無かった」
「はあ?じゃあ、あなたこそ何でこんな所に居るんですか?」
「迷宮区の入り口で狩りをしていたんだけど、朝入って行ったパーティーのメンバーが出てきたときには少なくなっているのが見えたからね、死んだのかと思っていたのだが、どうにも聞こえてきた声がね…気になったから駆けてきた」
「それは…」
俺の答えを聞いて黙り込む少女。
俺の剣幕にシリカも声を挟めない。
「んで?なんでそんな事になったんだ?」
俺の質問にとつとつと答える少女、名をアスナと言った。
迷宮攻略と経験値取得に執着しているアスナが今日の攻略を終えて帰ろうとしていたPTメンバーを引き止めたのが原因だそうだ。
意見の対立は次第に激化し、ついにはこんな迷宮の奥深くで別れる事態になったそうだ。
それを聞いての俺の意見はと言うと。
「…こいつバカだ…」
「なっ!?失礼ですね!」
だって、バカだろう。
そりが合わないメンバーだったのなら、こんな危ない所で別れるより一度戻って別PTで十全の準備で望む事が望ましい。
意見が対立した挙句、勢いでPT離脱なんてしていたら幾ら命があっても足りやしない。
そう答えるとアスナはさらに意気消沈した。
どうやら彼女はこのゲームに憤っているようで、ゲームクリアに燃える情熱で不安をかき消しているのだろうが、それが判断を鈍らせているようにも見える。
なんていうか、現実世界ならばいいとこのお嬢さんか学級委員長と言った感じだろうか。
「取り合えず、町までは一緒に行ってやる。その後は知らん」
「わたしはまだ経験値をっ…あつつっ…」
ゴチンっ
「ああ、またですか!?」
シリカ
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