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エターナルトラベラー
第六十話
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はゴメン、今日からまたよろしくね」

そう言った彼女の表情はようやくこの世界をほんのわずかでも受け入れたようだった。


アスナが立ち直ってから十日。

第九層のボス攻略の訃報はたちまち広がり、第十層の攻略はさらに遅れている。

そんなある日。

キィンっ

剣戟の音が響く。

目の前に迫る細剣を右手に持った海賊刀で防ぐ。

相手は俺の防御を突き破ろうと連撃。

細剣を巧みに操り、俺へと迫るアスナ。

俺とアスナは街中(安全圏内)で鍛冶屋でもどしたはずの海賊刀をすり減らしている。

目の前にはアスナが細剣を構え、こちらに向かって連続で突き出してきている。

何故こんな事になったのか。

切欠はそう、アスナの一言からだった。

「わたし、ギルドに入ろうと思う」

フィールドに出ようとした俺を呼び止めたアスナが発した言葉だ。

どうやらギルドの勧誘が有ったらしい。

どうやら攻略ギルドのようだと言う話だ。

「へぇ、良いんじゃないか?うん、それじゃ今までありがとう」

「え?意外にあっさりだね」

「そうか?」

俺は最初に言ったぞ、あんたは嫌いだって。

「…まあいいや、それで最後にお願いがあるの」

そうして告げられたお願いと言うのが、安全圏内での模擬戦だった。

見届け人はシリカ。

安全圏内でなら幾ら武器による攻撃がヒットしてもHPは1も減らない。

衝撃は来るが、死ぬことは無いので安心して攻撃できる。

アスナは俺から離れるに当たり、自分がどれくらい成長したのか見て欲しかったのかもしれない。

「ソードスキルは使わないの?」

「まさか。あなた相手に硬直時間のあるソードスキルなんて使えないわ」

その表情は真剣だ。

「そっか」

アスナの攻撃が鋭さを増す。

しかし…

キィン、キィン、ガリン

「あっ…」

アスナの振るった細剣を俺の海賊刀が弾き飛ばした。

ヒュルヒュルヒュル、ザッ

手元を離れ、回転して飛んでいった細剣が道端に刺さる。

それを見てアスナが降参する。

「だめ、あなた強すぎるわ。全然勝ち目が見えない」

「そりゃね。3歳から剣を振っているのだから、VRとは言えほんの数ヶ月ほどで抜かれる訳には行かないよ」

そうかもね、とアスナも同意する。

「ねえ、アオ君ってさ、今(VR)の方が身体能力落ちてるよね?」

「…どうして分かった?」

「うーん、何となくだけどね。ずっと見てきたから、体が思うように動かずにイライラしてるようだったもの。私なんかはレベルも上がった今のほうが現実よりは速く動けているんだけど…アオ君って現実だとどれくらい速く動けるの?」


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