第三章
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「都は変わったのう」
「ははは、泰平になってな」
「泰平か」
「ずっと戦だったのじゃ」
「何と、戦が続いておったのか」
「うむ、源氏と平家が争って」
そしてというのだ。
「鎌倉様がおってその後は室町様がおられたが」
「そこからまた、か」
このことは仙人も察した、それで言ったのだ。
「戦になったのか」
「うむ、都も焼け野原になってのう」
「それは大変じゃったな」
「しかし信長公が都に入られて落ち着きだしてな」
そしてというのだ。
「秀吉公が都をここまで整えられたのじゃ」
「秀吉とな」
「豊臣秀吉様といってな」
老人は飄々と笑いつつ仙人達に話した。
「百姓から天下人、関白ひいては太閤になられたのじゃ」
「何と、百姓から関白とな」
これには仙人だけでなくだった。
女房も驚いた、そして言うのだった。
「考えられぬな」
「全く以て」
「藤原家の方ではなくか」
「百姓が」
「だから凄いのじゃ、これまた気前がよくて気さくな方でな」
老人は秀吉のことを笑って話した。
「わし等にも色々としてくれる」
「ふむ、その秀吉公が今天下を治めておるか」
「そうなのじゃ、それでこれはな」
その仙人達が見上げて驚いている建物を指差しても話した。
「聚楽第といってな」
「秀吉公が建てたものか」
「そうじゃ、大きいじゃろう」
「うむ、この様なものは見たことがない」
仙人は平安の頃の記憶から話した。
「これ程まのものはな」
「それがな、もっと凄いものがあってな」
「もっと、とな」
「難波に行けばわかる」
「難波。あの宮があった場所か」
仙人は難波と聞いてこう言った。
「あの地か」
「今は大坂といってな」
「ふむ、大坂とな」
「あんた知らんのか」
「大坂とははじめて聞いた地名じゃ」
そうだとだ、仙人は老人に正直に答えた。
「難波は今はそうした名か」
「いやいや、難波を含めた摂津のあの辺りがじゃ」
「今は大坂というのか」
「そこに城があってな」
「城か」
「そうじゃ、行ってみるのじゃ」
「わかった、果たしてどんな城か」
仙人は老人の話を聞いて興味を持った、そしてだった。
女房にもだ、こう言った。
「では大坂に行ってみるか」
「はい、どの様な城なのか」
「見てみようぞ」
「それでは」
女房も夫の言葉に頷いた、そうして。
老人と別れ聚楽第を後にしてだった、そのうえで。
都を出て人気がない場所でまた雲を出してそれに乗って摂津の方に向かった、雲に乗ると瞬く間にだった。
二人はその大坂に着いた、そこで都に来た時よりもだった。
仰天してだ、乗っている雲の上から言った。
「何とこれは」
「大きな城ですね」
「うむ、何じゃこの城は」
「途方
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