第三章
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「賠償としまして手術費、入院費用はこちらが受け持ち、そして」
「そしてですか」
「お詫びの品も遅らせて頂きますので」
院長は力也にここまで言ってだ、そしてだった。
さらにだ、こう強い声で言った。
「この件は」
「その様に、ですね」
「おわかりですね」
「はい」
そうだとだ、力也も答えた。
「そうでしたら。命に別状はありませんし」
「いえいえ、こっちも一歩間違えましたら」
院長は力也にあくまで低姿勢で返す。
「大変なことになっていましたので」
「だからですか」
「お詫びの品が足りなければ何でも」
「そこまで、ですか」
「仰って下さい、まずは」
ここでだ、院長は自らだった。
高級レストランの無料チケット、高級菓子にフランス産の赤ワインにだった。温泉旅行の券等を二人に差し出した。そして言うのだった。
「お受り取り下さい、ですが」
「そういうことですね」
「そのこともお願いします」
「どうしようか」
力也は院長が差し出したそうしたものを見てからだった、妻の静香に問うた。
「ここは」
「そうね、あなたも命に別状はなかったし」
妻はこう夫に答えた。
「それにね」
「それにだよな」
「手術費、入院費も負担してくれるし」
「しかもな」
「これだけのものを貰えるから」
「いいか」
「そうよね」
それでとだ、静香も言うのだった。
「それじゃあね」
「受け取らせてもらうか」
「そうしましょう」
「有り難うございます、そうして頂いて何よりです」
院長も二人が受け取ると聞いて笑顔で応えた。
「ではこの度のことは」
「はい、では」
「これで終わりということで」
「くれぐれもお願いします」
院長は必死に念押しした、二人もそれを受けてだった。
病院が差し出したものを全て受け取ってだ、そしてだった。
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