第二章
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「その破裂した部分を縫い合わせますので」
「お願いします」
すぐにだ、静香は医師に言った。
「破裂とかとんでもないじゃないですか」
「わかっています、では」
こうしてだった、すぐにだ。
力也はまた手術を受けることになった、この手術は成功したが。
彼はもう一度手術を受けたその分だけ体力を消耗してだ、当然ながら退院も遅れた。しかも普通の盲腸よりも手術代もかかった。
それでだ、ようやく退院出来た時にだった。
妻にだ、入院費や手術代のことを聞いてこう言ったのだった。
「どれだけかかったんだ?」
「これだけよ」
妻はその入院費と手術代を彼に見せた。
「普通の盲腸の時よりもね」
「またこれはな」
「かなりよね」
「ああ、かかったな」
「あの」
ここでだ、静香は力也に小声で問うた。
「あなたの腸のことだけれど」
「破裂のことだな」
「あれ何だと思う?」
「それはやっぱりあれだろ」
力也も小声で静香に返した。
「所謂な」
「医療ミスよね」
「それだろ」
力也も自分のことだから強く言う。
「どう考えてもな」
「そんな、内蔵が破裂とかね」
「そんなにないだろ」
「またお医者さんも失言したわね」
「そうだな、それはな」
「それでどうしようかしら」
静香はここまで話してだ、そしてだった。
そのうえでだ、こう夫に問うた。
「訴えるの?」
「医療ミスでか」
「そうする?」
「そうだな、一応はな」
「一応は?」
「病院の方に確認するか、それでな」
「認めないのなら、よね」
静香はこのケースを念頭に置いたうえで述べた。医療ミスなぞ病院側が認めないと考えてのことである。
「その場合は」
「弁護士さん探しておくか」
「ええ、どんな弁護士さんがいいかしら」
「こうした医療関係に強い弁護士さんもいるだろう」
「じゃあそうした人を探して」
「その人に頼むか」
「そうするのね」
こうしたことも話してだった、そのうえで。
二人はまずは病院にだ、自分達のことを確認した。すると。
院長自ら出て来てだ、二人に頭を下げて言って来た。
「すいません、そのことは私も伺っています」
「というと」
「つまりは」
「はい、河原様の小腸破裂の件はです」
そのことについてだ、院長は妻と共にいる力也、彼に応接間で病院の主な面々を連れてだった。そのうえで何度も深々と頭を下げつつ言うのだった。
「こちらのミスです」
「あの、医療ミスを」
「はい、そうです」
また頭を下げて力也に言った。
「こちらのです」
「それで私の小腸が」
「手術の途中にです、誤って」
「破裂してしまったと」
「そうです、全てはこちらのミスです」
このことを認めてだった、そのうえで。
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