第四章
[8]前話
安土の山に城を築く奉行を務めその一切を取り仕切った、その結果。
安土に城が出来上がった、山全体が城となっており多くの石垣や城壁があり頂上にはこれまでなかった様な絢爛たる巨大な建物があった。
その建物を見せてだ、信長は言った。
「あれは天主閣という」
「あの信貴山城にあった」
「あれですか」
「その天主よりも」
「この城のものは凄いですな」
「わしが考えたが」
その外観なりはだ。
「建てることを任せたのは五郎左じゃ」
「あの方にですな」
「奉行としてですな」
「あの天主を建てることも任された」
「左様ですか」
「任せられると思ったからじゃ」
信長自身がというのだ。
「あ奴ならと思ってな」
「他の家臣の方よりもですか」
「五郎左殿でしたか」
「あ奴は城を築くやり方を心得ておるがな」
それに加えてというのだ。
「大事はやはりあ奴じゃ」
「織田家の中では」
「あの方ですか」
「うむ、言うならあ奴は米じゃ」
「米、ですか」
「五郎左殿は」
「そうじゃ、確かに権六や牛助、猿もおる」
柴田、佐久間、羽柴といった面々がというのだ。
「しかし五郎左は欠かせぬ、何事においてもな」
「城を築いたことも」
「それも」
「あ奴は欠かせぬ、そうした者よ」
それが丹羽長秀という男だというのだ、そして安土城を築き終えてからもだった。信長は何かがあるとだ。
丹羽に話しそして彼に仕事を任せた、まさにそれがだった。
「米か」
「織田家にとって欠かせぬ方」
「米は欠かせぬもの」
「五郎左殿はそうした方か」
「あらゆることに対して」
こう話してだ、そしてだった。
天下の者は丹羽を見るのだった、そして彼がどうした者かも理解した。派手ではないが欠かせない者であると。
米五郎左 完
2015・3・24
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