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釜の音
4部分:第四章
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う決まっていた。
「そのつもりです」
「それでどうされているのですか?」
 若松さんに尋ねた。
「そのお話は」
「いつもこうするしかないのですが」
 若松さんは諦念した顔で僕に答えてくれた。身体から力がふう、と抜けた感じになっていた。
「釜に聞いています」
「そうですか」
「結局はそれが一番ですからね」
 その諦めた顔に寂しい笑みが入っていた。哀しい笑みに見えた。
「どんな答えが出ても」
「そうかも知れませんね」
 僕もその言葉に納得するのだった。やはり人ではわかりかねないこともあるからだった。僕も人間が何でもわかるとは思っていない。そこまで傲慢ではないつもりだ。
「それでですね」
 そのうえでまた若松さんに尋ねた。
「何でしょうか」
「今頼まれている結婚の相談もやはり」
「ええ。まず釜に聞いてみます」
 やはりこう答えが返って来た。
「どうするべきなのか」
「いい答えが出るといいですけれどね」
「それは私も同じです」
 この答えは予想していた。誰にしろそう思うものだ。他人のものでも幸せを願いたいのは誰でも同じである。相手に余程の悪感情を抱いてはいない限り。
「できれば鳴らないで欲しい。いつも思いますよ」
「でしょうね」
 僕は若松さんのその言葉に頷いた。
「ですが」
「はい。こればかりはわからないものです」
 また寂しい、それと共に諦めた言葉が返って来た。

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