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白鯨とクラーケン
第二章
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「わからないからな」
「ああ、本当に互角だしな」
「お二方とも非常に強いし」
「もうな、どちらがお強いかというと」
「本当にな」
「わからないからな」
 こう話すのだった、イルカ達は。この話をしているのはイルカ達だけではなくだ。広い太平洋にいる様々な生物達が話していた。
 モビーディッグはこの時南太平洋にいた、オーストラリアの北の海に。そこで白いまさに船なぞ一飲みの巨体を泳がせつつだ、周りの生きもの達に言っていた。
「今度こそ決着をつける」
「クラーケン様とのですか」
「決着をつけられるのですか」
「そうされるというのですね」
「そうだ、この太平洋の王が誰なのか」
 まさにだ、そのことをというのだ。
「決めてやる」
「モビーディッグ様が勝たれ」
「そのうえで」
「そのことをですか」
「確かにされますか」
「そうだ、わしは負けることはない」
 自信さえだ、モビーディッグはその白く巨大な身体に漂わせている。そのうえでの言葉だ。
「何があろうともな」
「ではこれより」
「クラーケン様にですか」
「勝負をですか」
「告げられますか」
「そうする、クラーケンよ見ておれ」
 その目を鋭くさせてだ、モビーディッグは低い声で言った。
「わしの力見せてやる」
「では」
「これよりですね」
「戦いの場に行かれますか」
「そうする」
 周りの生きもの達に応えてだった、そうして。
 モビーディッグはゆうるりと泳ぎ自ら動いた、そしてクラーケンもだった。
 巨大な、その十本の足の一本がだ。マストよりも遥かに太くその一撃で船なぞ真っ二つに出来るだけの大きな身体を烏賊の動きで海の中を進みつつだった、周りの海の生きもの達に話していた。場所は北太平洋、ベーリング海峡の傍だ。
「時が来たのだ」
「モビーディッグ様との決着をつけられる」
「まさにその時がですか」
「来たと」
「そう仰るのですか」
「そうだ」 
 まさにというのだ。
「これまで私はあ奴と何度も戦ってきたが」
「それでもですね」
「これまで決着はついていない」
「しかし今回こそですか」
「モビーディッグ様とのそれを」
「つける」
 まさにというのだ。
「何があろうともな」
「そうされますか」
「今度こそ」
「ではこれより」
「モビーディッグ様にですか」
「勝負を告げる」
 彼も言うのだった。
「そしてだ」
「ではモビーディッグ様には我等が」
「我等がお伝えします」
「これより」
「そうしてくれるか、ではモビーディッグよ」 
 彼もだ、その目を光らせてだった。
 戦いの場に赴いた、その場は。
 両者は自然とだった、ある場所に向かった。そこはというと。
 日本のすぐ傍の海だった、そこにおいてだ、
 両者は対峙
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