第十一話:混入せし概念
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げているだけなら関わる必要もない。
俺が膝蹴りを噛ました理由は―――――
「……? 麟斗、何故顔を横に向けてる?」
「マリス……『服』を着ろ」
小首を傾げた殺戮の天使が、あろう事か生まれたままの姿……つまり “全裸” で座っていたからだ。
そんな彼女に対して楓子が、珍妙な手つきと動きで迫っていた―――否、もう既に絡みついていたのだ。
この後スムーズに事を運ぶためにも、そしてオレの精神的ダメージを防ぐためにも、今の突発的な膝蹴りは止むをえまい。
腹が立つほど大いに脱線させられたり、マリスに余計な知識を溜めこまれるのは、正直御免だ。
「と言うか何故着ていない?」
「……暑いから脱いでいる」
「全部脱ぐ必要があったのか……?」
「……楓子がそうしたらいいと教えてくれた」
「デコ助ぇ……!」
「ちょ、ま、兄ちゃん! 待ってっ!?」
聞く耳は持たない。
こいつには最悪、打撃のフルコースbRを喰らわせた方がよさそうだから……な。そうすればチッとは反省するだろう。
コレは愛の鞭だ。
日頃親父がやっている様な、ソレをしなくても決して非行には進まないのに、ソレをやらなければ打ち落とすお節介な雷では無く、この先犯罪行為に走らぬようにと戒めるものだ。
もし、反省するなら手加減でも良かろう……しないなら、三割増しに決まっている。
「で、言い訳はあるか」
「…………うっふん? こっち来ちゃ、イヤン?」
「You will Die」
「何で今だけ凄く流暢な英語でぶごげらっはぁ!!」
『このド畜生がぁーーーっ!!!』と叫ばんばかりな、みんな大好きな某氷菓子の様な名前を持つ変態衣装を着た、口の中が暗黒空間になっている人型能力を使う “あの人” バリに、ローキックを打って打って打ちこみまくる。
あと何百発ぶち込もうと反省しないだろうし(でなければコイツは、とっくの昔に常識人)、此方の気も全くすまないが、一応止めておく事にして十数発目で壁へと向け、顔から跳ぶように蹴りとばした。
「へぶらぅ!」
楓子は俺の狙い通り見事に額をぶつけて、ズルズルとゆっくり落ちて来る。
丈夫なのかすぐさま緩慢とした動作で、上半身のみ上げると左手を動かし、額をさすって珍妙なうめき声を上げていた。
……ざまあみろ変態女。
そして今のでより一層確信出来る。
コイツは、なるたけ早く縁を切りたい人間ナンバーワンだ。
そこだけは、大学へ行ってしまい帰省をしない兄貴が、縁を疑似的に切れているという意味で、少し羨ましい。
「……! チッ」
「……?」
振り向いて見てもまだ脱いだままのマリスへ、俺は咄嗟に目を顔ごと逸らし、視線を向けず後
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