第十一話:混入せし概念
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は!」
「此処に居ても迷惑をかけるだけだがな」
協力など出来ず、しかも他の堕天使たちや聖天使とは戦えないなら、何処に居たって迷惑をかけるだけにしかならないと思う。
わが家に居る事が出来る理由があるとするならば、この災いを呼び込んだ元凶がこの家の住人であることぐらい。
説明して貰って置いて恩知らずだとは思うが、けれど害を呼び込みやすい存在である以上、用が無いならさっさと出て行って欲しい。
幾ら俺達が無関係ではないと言っても、関われる度合いには限度ってものがある。
協力的な姿勢を見せていたのは、此方から何か出来るかもしれないならという意図があった為、そして一端を俺の家族が担ってしまったが為。
そして彼女等に対する疑問を解消できるなら、さっさと解消してしまいたかったが為だ。善意ばかりが締めていた訳ではない。
幾ら他人が危うい状況にハマる可能性が高くなっているとしても、出しゃばって態々危機に陥ったり、事態を悪化させては意味が無いだろう。
他者の為と粉骨砕身できるのは、自分が良い影響をもたらせるからであり、自他共にプラスにも働かない状況で動く事は、何もしていないと同義のだから。
しかし―――
「……出て行く気は無い」
「迷惑だと言ったのにか? 此方からはもう何も出来ないんだ。なら居た所で被害を呼ぶだけの存在を置いておく事が出来るとでも?」
「……さっきも言った筈。 “仮に” 他の人と《婚約》したくても出来ないと……私は他の人とはしたくない。私にはあなたを選んだ理由がある、故に麟斗がいい」
「はぁ!?」
この世界に生まれおちて十五年の間、あまり喋らず声も荒げなかった俺が、初めて素っ頓狂な声を上げた瞬間だった。
自分でも大いに驚いている。二重の意味で。
「それに兄ちゃん! 兎にも角にもメープルたん達は探さなきゃいけない訳だし、拠点ぐらい入るじゃん! だからウチを提供しようよ!」
「……自ら災いを呼び込んでどうする」
「だって楽しいじゃん! こんなドラマチックな展開は、人生で一度あるか無いかなんだよ! 夢にまで見たガチファンタジーなんだよ!」
全く持ってまともな理由じゃねえし、寧ろ考え得る限りで最悪な答えだな、留めておきたい理由が『楽しいから』って。
コイツのノートの内容、自分が書いたんだから知っている筈だろう? ならどれだけ危ないか、それだけ死と隣り合わせか、コイツ自身が尤も把握している筈。
なのにそれを重々承知で無以下の様なこの態度、ますます頭痛がひどくなった。
先程までの雰囲気を壊すようで悪いが、どうにか我が家から出て行って貰うか……。
(……っ!?)
俺がそう考え、お引き取り願う為の策を考え始めた瞬間―
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