第十一話:混入せし概念
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トが焦げていて分からなかったが……《婚約者》とは?」
「……私と共に闘い、力を与えてくれる人。力を与えると言うのは、魔力を注ぐという役割を表した者。私は最弱、故に藁にもすがりたい……だから、《婚約》が出来ないのは困る」
「そういわれてもな……」
文句なら体に混入したらしき概念とやらに言って欲しい。俺に対して文句を突きつけられても、対処しようがないのだ。
だが、このまま手を拱いている訳いもいかないという気持ちは、分からないでもない。
最善策を取るべく、マリスへ俺は提案した。
「クラスメイトの内一人に事情を話すぞ。《婚約》はソイツにして貰え」
「うわ! 兄ちゃん超他力本願!」
「やかましい」
俺は《婚約》とやらが出来ないんだろう? なら妥当な判断だと思うが。
「……それも無理」
「は?」
「えっ? 無理ってどういうことなのマリスたん?」
しかし誰に話すかへ意識を向けようとしていた俺へ、マリスが明らかな否定の言葉を掛けてきた。しかも無理……つまり他の奴と《婚約》するのが無理だと? いったい如何言う事だ?
その俺達の真っ当な疑問に、マリスはすぐに答える。
「……これも何故かは知らないけれど、紋様も出来ず魔力回路も無いのに、既に正《婚約》は済んで麟斗が《婚約者》になった事となっている。だから仮にしたくても、別の人とは《婚約》出来ない」
「何だと……!?」
即ち、他の奴とは《婚約》出来ず、力を与える―――魔力を注ぐ事も出来ないと言う、簡潔に言うならば最悪な状況だ。
何と面倒くさい事態に陥っているのだろうか。
…… “仮に” と言う単語が混ざっているのが気になったが、そんな事に対して考えるのは後だ。もっと問い詰めるべき言葉があったからな。
「おいマリス。今、正《婚約》がすんでいるって言ったよな」
「……言った」
「何故だ? 仮《婚約》も出来ないのに正もクソも無いだろ?」
「……これも憶測だけど、此方が勝手に判断してしまっている結果だと思う。正《婚約》の条件は心から同意する事。麟斗はそれなりに協力的だったから、本来なら正《婚約》も済んでいる筈……けれど、今はそれが良く無い方向へ傾いてしまった」
「うわ、何と言う面倒くさい展開……! こりゃ不幸だねー」
呑気に言葉を紡いで溜息を吐く楓子へ、俺は又も手刀を一発落としたい気分に駆られたが、意味もない事を行って脱線させれば余計に打開策など浮かばない為、今はグッと堪えておいた。
「……何れにせよ、他の所へ行っても意味が無い。ただ迷惑をかけるだけ。だからここに居させて欲しい」
「オッケー! もちろんシステムオールグリーン状態! camcamヒアーでございますよ楓子ちゃん
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