02:御華功
[1/3]
[8]前話 [1]次 最後
功を廃倉庫の奥に運んだアーチャーは功を地面に下ろすと、自らも柱を背にして腰掛け、思考の海に飛び込んだ。
──そもそもこの男は、どうやって自分を召喚した?
アーチャーは──天宮刹那という名の少女は、この時代、否、この世界に於いては無名に等しい。
他にアーチャー適性を持つ英霊など幾らでも存在するし、まず刹那という英霊を呼び出す事など不可能に等しいのだ。
その不可能を可能にするのが、触媒と呼ばれる、サーヴァントに所縁のある品だ。
その触媒を使う事によって特定のサーヴァントを狙って引き当てる事が出来る。それならば自分を呼び出した事にも納得がいく。
──では、その触媒とは?
先程言った通りに、刹那という少女はこの世界には存在した事は無い。
触媒を使って召喚しようにも、その触媒が無いのだ。
それにこの御華功という男は、自分を知らなかった。
つまりそれは、故意に触媒を使ったと言う事は無い証である。
それらの情報から考えて、一番可能性が高いのは──
「……お兄様の悪戯ですね、確実に」
脳裏に、純白の少年神のニヤけ顔が浮かぶ。考えれば考えるほど、それ以外考えられなくなってきた。
《主》という少年神は基本自由な性格をしている。刹那をこの時代に送り込んだという事は……
「また面倒な事になりそうですね……」
《主》の言う『面白い展開』に刹那は巻き込まれるのだろう。
それが彼の為になるならば異論は無いが、それでも彼の『面白い展開』は周りにとっては『天変地異』だ。
他の『天宮刹那』ならまだしも、この『天宮刹那』は英霊化の影響により、利己的思考が芽生えている。
幾ら彼の意思でも、少しは拒否感はあるのだ。
「ま、やる事は変わりませんがね」
自分の使命は、勝利し、聖杯を手にする事。そして願いを叶え、《白亜宮》へと帰還する。
結果は変わらない、至極単純明快な事だ。
だが、刹那は思考の海から出ようとしない。もう一つ、考えねばならない事があるのだ。
それは、彼女のマスター。──召喚者、「御華功」についてだ。
彼の名に付いては、彼女の『眼』が教えてくれた。彼に魔術の才能が無い事も、それに見合わない膨大な魔力を持つ事も。
その『魔力』だ。
その魔力の性質は、魔術を使うには余りに向いていない。
では何に使うのか。
基本的には、魔術的要素を余り必要としない肉体強化だろう。或いは魔力そのものに形を与え、それ自体を攻撃とするか。
けれど、それだけではあるまい。
彼の魔力には見覚えがあった。それこそ、刹那の知るアッシュや《主》のような、『魔法』に特化した──
「……いえ、有り得ませんね」
この世界に存在する『魔法使い』は、過去現在を含めて7人。未来にも、魔法使いが現れるなどという記録は無
[8]前話 [1]次 最後
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ