第3章 リーザス陥落
第54話 レッドの町を解放せよ
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〜アイスの町・入口〜
ユーリは、皆の帰りを待っていた時だ。
まず初めに帰ってきたのが志津香とかなみ。何を話していたのかを聞こうものならば、鉄拳か鉄の足の踏み抜きが返答として帰ってきそうだったから、何も聞かないが……。
「……なんで、ここにヒトミがいるんだ? 今から前線に帰るんだぞ」
驚いたことに、2人と一緒にいるのはよく見知った娘がいた。……そう、ヒトミも一緒に来ていたのだ。……見送りだろうか? と ユーリは 思ったのだが、どうやらそうではないらしい。
「もう、1人は嫌なんだって。……こんな可愛い妹をずっと1人になんてしておくべきじゃないわよ? ユーリ」
ユーリの言葉に 志津香がそう答えた。心なしか、ヒトミの目も一段階真剣身を帯びている。
「『家を守って』 って、お兄ちゃんに言われた時……、私もね。がんばろーって思ったよ。でも……やっぱり、傍にお兄ちゃんがいないのが怖いの……。本当に たった数日だったけど、凄く心配で……怖かった。1日が本当に長かったの。お兄ちゃんと、出会う前よりもずっと、ずっと。…………お兄ちゃん。お願い」
ヒトミは、涙を目に貯めていた。そして、涙を一筋流すと、ユーリの目を見た。
「……お兄ちゃんの、皆の、邪魔は、しないから、……だから、お姉ちゃんや、お兄ちゃんの傍にいさせて……? 私も 今から行く場所が、とっても 危険だって判ってる。でも、それでも お兄ちゃんの傍にいられない方がもっと嫌っ、離れる方がもっと……嫌なのっ」
「はぁ……」
それを聞いたユーリはため息を1つした。
そこまで言われて拒否をするのは 出来なかった。それに、これまで、やや過保護だったのかもしれない。彼女の様子、言動から 忘れやすいのだが、ヒトミは、女の子モンスターであり生を受けてから今日まで生き延びてきたんだから。
それに、ヒトミが自分と出会う前の話を聞いた。
彼女はずっと、1人だったんだ。そんな時に、自分と出会ったのに……。
「……判った」
ユーリは、そういうと 帽子越しにヒトミの頭を撫でた。そして、指先で涙を拭ってやる。
「その代わり、絶対に皆から離れるなよ? それと本当の危険地帯にはついてこない事、……それを約束できるか?」
「う、うんっ……!」
ヒトミは、目に溜まった涙を零しながら、本当の笑顔を見せた。それを見たかなみも志津香もニコリと笑う。2人はヒトミのこれまでの事も知っている。その小さな姿からは考えられない程の事をこの小さなコは体験をしてきたと言う事を。
「そうよね……。これは、あまり言いたくは無いけど、このアイスの町だって絶対に安全か? って言われれば頷けないし、ずっと1人にしておくよりは、私たちと一緒の方が安全かもしれ
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