第3章 リーザス陥落
第54話 レッドの町を解放せよ
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どーだか。まあ良いか……それより」
ユーリの表情は更に険しさを増した。それを見たミリは苦笑いをしていた。
それでも、ミリもユーリ同様に、もう笑ってはいない。
「それで、なんだいユーリ? ひょっとして、オレを口説くつもりなのか? なら歓迎だぜ」
「これ以上茶化すな、ミリ。オレの要件は 判っている筈だろう? ……このまま、ミリが何も言わないんなら、リーザスの彼らに言って、ミリを戦線から外すぞ」
「……判った判った。……それだけは止めてくれ。オレのいない所で全部終わっちまうのは嫌だ。……例えオレが死ぬとしても、何もしないのは嫌だ。……絶対にな」
両手を上げて降参するポーズを取るミリ。その口調からユーリは察する。ミリ自身の身に起きている事は、そんな生易しいものじゃないのだと。
そして……ミリの口から説明された。
彼女の身体のキレが悪いのは……、彼女の身体を蝕んでいるものが存在しているとの事だ。
「……ゲンフルエンザ」
「ああ、この戦争が始まる数日前からだ。何だか身体が気だるくてな。……普段はてきとうに済ませる所だが、店をやってる時、ミルにも心配されちまって。だからちゃんとした病院で診てもらったんだ。……それで不治の病の兆候が出てたみたいだ。最もまだ初期症状だし、短期間で100%悪化するわけでもない。ま、ここ数年後でどうなるかは、五分五分ってやつさ」
内容は果てしなく重い。だが、それでも自分を崩さずに、極めて明るく振舞うミリ。
ゲンフルエンザは発症してしまえば、完治する事は今現在の医学、そして魔法でも確立されていない不治の病となっているのだ。塞ぎ込むミリは見たくはないと思う。だが まだ、大丈夫とは言え、明らかに身体に影響が出てきているのだ。だからこそ、以前までのミリなら、ちゃそば程度で手古摺るとは思えないから。
「………ミリ」
「嫌だよ」
ミリは、ユーリが何を言おうとしたのかを、いち早く察し 直ぐに牽制をした。
「これは 売られた喧嘩なんだ。……それに、戦線から離れて療養した所で治す方法がない。これ以上悪化しない事を、病院のベッドの上で祈るくらいしか出来ないんだ。……そんな姿、皆には見せられないさ。……そして、ミルの前では絶対に」
「……そうか」
ユーリは、そう言うと立ち上がった。こうなったミリは 誰にもとめられないと言う事は、ユーリも判る。信念を持っている者の、それを捻じ曲げる事は、他人にはできる事ではない。
「悪かったな。変に心配をかけちまって。だが、大丈夫だ。なんたってオレ だぜ? こんな病気なんざ気合でねじ伏せてやる。そんでもって、人間で克服した世界初の女になってやるよ。だからよ。……そん時は
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