1部分:第一章
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ここで腕に力瘤を作ってみせる。見ればかなりのものだ。
「それもかなりの」
「それを見せてやらないとね」
「全くだよ」
そのおそのも断言するのだった。
「絶対にね。今度は二度と博打ができないようにだね」
「してやるんだね」
「ああ、絶対にね」
また答えてみせる。
「やってやるさ。何があっても」
「その意気だよ」
「頑張るんだよ、おそのさん」
女房達も笑顔でおそのにそれを勧める。女は怖い。
「何があっても甚平さんに一泡吹かして」
「ぐうの音も言えないようにだね」
「見てるがいいんだよ」
また鬼婆の顔になっていた。本当に今にも角が見えそうだ。本来は歳はいってるが目が大きく結構可愛い顔立ちなのに完全に鬼の顔になっていた。
「ギャフンと言わせてやるからね」
「そうそう、ギャフンとね」
「一捻りでね」
ぎゅっと首を捻る動作までしてみせる。おそのはこれで決意した。そしてそれはその晩早速。そうした事態となったのであった。
「お父ちゃん遅いね」
「またサイコロ?」
長屋の部屋の中で。子供達が目をこすりながらおそのに対して尋ねている。灯りは行灯の薄暗いものでありもう布団が敷かれている。その中でおそのも子供達も寝巻きに着替えて今まさに寝ようとしていた。しかし亭主の甚平がまだ帰ってきていないのである。子供達もそのことを尋ねているのだ。
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