第二百二十五話 馬揃えその六
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「あまり。古い家は大抵知っていたつもりですが」
「そうじゃな。わしもな」
「あまり、ですか」
「知らぬ、どういた家かな」
「陰陽道ですな」
「それを司っていると言われても」
それでもだというのだ。
「陰陽道といえば安倍家に賀茂家じゃしな」
「その両家ですな」
「しかし高田家というと」
「どうにもですか」
「影が薄いのは否定出来ぬか」
朝廷のことに詳しい林もというのだ。
「どうもな」
「左様ですか」
「しかも今日はとりわけ暗い顔をしておられるか」
その高田の顔を見てだ、林はこうも言った。
「そんな気がするわ」
「とりわけとは」
「いや、確かにわしもあの方をあまりお見かけしたことはないが」
だから詳しくは言えないというのだ、林にしても。
しかしだ、その中でも高田と会ってその顔を見た時のことを思い出しつつ話した。
「普段よりもな」
「しかもです」
ここでだ、林の実弟通具も言った、兄よりも幾分地味な格好である。
「こちらを、特に上様の方を」
「見ておられるのう」
「妙に」
「はて、あの御仁と上様は」
「特にご関係はおありでは」
「なかったというかお話されたことさえな」
それすらもというのだ。
「なかった筈じゃが」
「それでもですな」
「妙に上様を見ておられるのう」
「どういうことなのか」
「少しわからぬな」
こうしたこともだ、織田家の主な家臣達は不思議に思っていた。
その中でも馬揃えは進む、帝は皇室の方々を周りに控えさせそのうえで御覧になられながらその皇室の方々に仰った。
「この揃えの見事なこと」
「これだけの馬揃えをされるとは」
「流石は前右府殿」
「お見事ですな」
「流石は一の人」
皇族の方々も口々に言われる、そして。
帝はその南蛮の服を着た信長を御覧になられてこうも言われた。
「さて、これで朕の考えは決まった」
「前右府殿にですな」
「将軍と関白の位を授ける」
「そして天下の治を任せられますな」
「そうする」
まさにとだ、皇族の方々に約束されたのだった。
「そうすることにした」
「先日右大臣の官位を辞されたのが妙ですが」
「それは何故でしょうか」
「そのことがどうもわからりまぬが」
「私もです」
皇族の方々は口々に言われるがだ、帝だけはこう仰った。
「それは後でわかる、もうすぐな」
「そうなのですか」
「もうすぐですか」
「何故右大臣の官位を辞されたか」
「そのこともわかりますか」
「そうじゃ、ここでは話さぬが」
内裏での信長との話のことを覚えておられてだ、そうされるのだ。
「とにかくじゃ」
「今は、ですか」
「ではこの馬揃いを御覧になられ」
「楽しまれますか」
「そうしようぞ。この武なら天下を静
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