第二百二十五話 馬揃えその二
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他の家々まで見られていた、だが問題はその馬揃えの場所だった。
都の者達の中にはだ、御所のすぐ傍のところで集まっているその面々を見てだ、顔を失って口々に話をしていた。
「しかし。あの場でか」
「あの場で馬揃えをされるか」
「それはな」
「どうもな」
「よいのか」
「いや、よい筈がなかろう」
それはとてもというのだ。
「御所の傍で馬揃えなぞな」
「帝を脅すつもりか、前の右府様は」
「流石にそれはないと思うが」
「少しのう」
「都で馬揃えをされるにしても」
「場所が大事ではないか」
「そうじゃな」
こうしたことを話していた、それを見てだった。
生真面目な格好で具足と陣羽織、兜で整えている信行がだ、信長に問うた。
「あの、兄上」
「わかっておる」
信長は笑って応えた。
「場所のことじゃな」
「はい」
その通りだとだ、信行も答える。
「この場所は」
「帝には既にお話をしてな」
「ここでされることをですね」
「許して頂いておる、無論関白殿達にもじゃ」
「左様ですか」
「帝も許して頂いた」
当然怯えることなくだ。
「わしは朝廷を脅すことはせぬ」
「全くそのつもりもですな」
「ない」
こう信行に言い切った。
「全くな」
「では何故ここで」
「見せたい者達がおるからじゃ」
「その近頃言っておられる」
「そうじゃ」
まさにというのだ。
「妙に御主の傍にいたな」
「津々木もですか」
「そうした気配も感じるのじゃ」
「そういえば」
ここでだ、信行がこう言った。
「長宗我部家に久武親直という者がいましたが」
「先日追放となったな」
「はい、どの家にも仕官はならぬとです」
「わしも沙汰を下したが」
「あの輩とはまた違いますな」
「あ奴は只の小悪党じゃ」
そうした者に過ぎないというのだ、その久武親直という者は。
「小悪党故にやることは汚いがな」
「しかしですな」
「小悪党と闇は違う」
「闇はですか」
「どうもな。闇を感じるのじゃ」
信長は怪訝な顔で弟に話した。
「闇の中に蠢く者達をな」
「ふむ。ではこの度の馬揃えは」
「その者達に見せる、そして煽る」
「我等の武の威容を見せて」
「そうして動かすのじゃ」
まさにというのだ、こう話してだった。
そしてだった、信長はここで家臣達を見た、皆それぞれが思うとりわけ派手で目立つ格好をしている。だがその中で。
平手は丁寧に絹の服で整えているがだ、それでもだ。
信長の今の格好を見てだ、顔を顰めさせて言った。
「上様、またしても」
「ははは、爺は今も言うのう」
「当然です、あの南蛮具足とマントの様な陣羽織も呆れますが」
信長が戦の時に着ているそれだ。
「しかし今も」
「似合う
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