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真田十勇士
巻ノ十四 大坂その六
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「まあ清海らしいわ」
「ではわしは花和尚か」
「ははは、そしてわしは浪士じゃ」
「待て、御主の何処が燕青じゃ」
 今度は清海が猿飛に言った、その大きな口で。
「御主のその顔でか」
「どうじゃ、男前であろう」
「その猿みたいな顔でか」
 実際に猿飛は猿面だ、髪の毛も多く顔の色は赤らんでいて背もあまり高くないので余計に猿に似ている。
「羽柴殿と間違えるぞ」
「そこまで猿に似ておるというのか」
「そうじゃ、御主は猿じゃ」
 燕青ではなく、というのだ。水滸伝きっての伊達男の。
「わしは花和尚じゃがな」
「言うのう、わしはこれでもおなごにもてて仕方ないのじゃぞ」
「それは嘘であろう」
「嘘ではないわ、おなごの傍に行けばいつも騒がれておるわ」
「それは御主の勘違いじゃ」
 こう言い合う、しかしだった。
 言い合う二人にだ、霧隠が言った。
「御主達騒ぎ過ぎぞ、我等も武士ぞ」
「むっ、武士ならばか」
「迂闊に騒ぐなというのか」
「そうじゃ、殿にお仕えしておるからにはじゃ」
 それならばというのだ。
「我等も武士であろう」
「そうじゃ、御主達は紛れもなく武士じゃ」
 幸村もこのことは確かだとだ、彼等に告げる。
「父上にも認めて頂く」
「有り難きお言葉」
「そのことは約する」
「聞いたな、武士ならばな」
 霧隠は清海にあらためて話した。
「人前で騒ぐな」
「そうか、武士なら」
「騒ぐべきでないか」
「ましてや忍術を身に着けておるのなら」
 霧隠は今度は自分達が忍の術を備えていることも話した。
「目立たぬことも必要ぞ」
「そういえばわしはな」
「わしにしてもな」
 猿飛も清海もここで自分達の姿のことを言う。
「これだけの男前じゃしのう、目立つわ」
「ははは、美男は辛いのう」
「まだ言うか、だから御主達は騒ぎ過ぎなのじゃ」
 霧隠はまだ言う二人に呆れながらも注意した。
「もう少し静かにせよ」
「ははは、よき方々ですな」
 老人はそんな彼等を見つつ口を開けて明るく笑って述べた。
「お人柄のよき方々ですな」
「はい、実によき者達です」
 幸村が微笑んで老人に答えた。
「拙者には過ぎた者達です」
「いえ、殿こそです」
「我等には過ぎた主です」
「殿の様な方はおられませぬ」
「まさに天下一の主です」
 家臣達は幸村の今の言葉に驚いて返した。
「その様なことを言われては」
「恐縮して仕方ありませぬ」
「恥ずかしくて顔が赤くなって困りまする」
「ははは、そう言うか」
「はい、ですから」
「そうしたことは」
 言わないで欲しいというのだ。
「どうかです」
「お願い申します」
「わかった、ではな」
「ではお互いに相応しいということですな」
 老人はこう述べた、双
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