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逆さの砂時計
解かれる結び目 15
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た勇者達が報われそうになかったからのう。一つ言い当ててやろうか? 勇者は最期に、こう告げた筈だ」

「『生きて』と」

 アルフが貫き通した願い……笑顔。
 最期の朗らかな笑みを思い出して、胸が鋭く痛んだ。

「今のお主なら、言葉の意味を正しく理解できるであろう?」

『生きて』
『どんなに難しくて、辛いことだとしても』
『どうか……()()()()()

 アルフは、私と同じ。
 護りたいと願い、護りたいと願うほどに喪失を恐れていた私と。
 同じだった。

「これからのことは、これからじっくり考えれば良い。生きよ、我が子孫。『空間』を司る、最後の女神達」

 頭の上から、ふんわりと柔らかく上着を掛けられ。
 震える肩を二回、軽く叩かれた。
 私の腕の中では、小さな赤子が大きく口を開けて叫んでる。
 切ない声で、必死に泣き叫んでる。

「落ち着いたら名前を付けてやれ。お主と、気高い魂達の意志を継ぐ娘に、相応しい名前を」
「は……い……っ」

 壊れそうな小さい体と泣き声を抱きしめる。
 私が流す涙も、しばらくは止まりそうにない。



 ……生きよう……。
 たとえ、どんなに難しくても。
 一緒に生きよう。

 私の……『アリア』……。



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