解かれる結び目 15
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だけは、絶対に避けなきゃいけないから。
それに、声が聞こえた。
この世界に居る筈がないレゾネクトの声が、はっきり聞こえたんだもの。
私やこの子が生きていて、良い結果を出せるとは思えない。
「……っ……」
護る。
この世界を。
私とこの子の命を盾にして、アルフ達が護ったものを。
「だあーあ! あぁーっ」
短剣を、取らなきゃ……。
今、すぐ……
……覚悟を、決め…………
「どうした? ほれ。届かぬのなら、直接持たせてやろう」
伸ばそうとした右手を掴まれ。
無理矢理開かれた手のひらに、冷たい感触が押し当てられる。
刹那。
「いや!!」
ティーの手ごと、それを払い除けてしまった。
回転しながら床に落ちた短剣が、テーブルの足にぶつかって静止する。
「っあ!? あ……あぁ……」
……掴まなきゃ、いけなかった。
護りたいと思うなら、絶対に掴まなきゃいけなかったのに!
「あぁ……あ、あ……っ!!」
「…………」
ティーが私を見る。
目線だけで、問いかけてくる。
死なないのかと。
殺さないのかと。
じっと、問いかけている。
「…………────っっ!」
無理だ。
私には殺せない。
この子を殺すのとアルフを殺すのと、どこに違いがあるっていうの?
世界を護りたいから、その為に都合が悪いから殺す、なんて!
私にはできない!!
「っどうして! どうして産ませたりしたんですか!! 顔さえ見なければ、声さえ聴かなければ気付かずにいられたのに!! この子を護りたいなんて、こんな危険なこと、思わなくて済んだのに!!」
「……ふぇ、え……んぎゃあああああ──っ!」
強く抱きしめた赤子が泣き出した。
また、あの悲痛な叫び。私の涙。
「貴方のせいよ! 貴方が余計なことをしたから、私は……っ!!」
「それで良いのだよ。お主は、悪魔とは違う。奪う者ではなく、護る者だ。生きるのが難しいからと、命を棄てようとするでない。それは、あの勇者の本意ではなかろう?」
「……っ!」
ティーの手が、うつむく私の頭をくしゃくしゃと乱暴に撫でる。
触れた一瞬、レゾネクトの手と被って怯んでしまったけど。
この手も、温もりも、あの男悪魔とは全然違う。
大きくて優しい気配が、少しだけ気持ちを落ち着けてくれた。
「……貴方は、アルフを知っているのですね」
「遠くから見かけた程度にな。勇者一行の青臭い関係性も透けておったわ」
青臭い……。
「……それでも本気で……、真剣、でした……」
「知っておる。故にお主を拾い介抱したのだ。どこもかしこも傷だらけで、あのまま放置しては、命を懸け
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