解かれる結び目 15
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時《・》間』?
「もしかして、世界樹の時間を操っていたあの力は、貴方の?」
「ようやく、頭が回ってきたかの? そうだ。世界樹を枯らしてはならぬというのに、神々はいちいち対処が遅くてな。仕方なく、祝福として我が翼をくれてやったのだ。おかげで神としての力はほとんど空よ。表に顔を出せば悪魔共に狙われ、人間共には怪しまれ。まったくもって迷惑な話だ。いや、一人身も存外楽しいが」
そう、か。
世界樹に力を譲渡したから、翼が無くて。
そのせいで、神々が眠る世界にも行けなかったのね。
「つまり、この赤子の時間を止めておくのはかなり辛いと話しておるのだ。早う決めぬと、本当に死ぬぞ? 我が。」
「! あ、あの! その子は本当に、私の子供……なんですよね?」
全然、実感が無い。
だって、お腹の中に居るって気が付いたのは、気を失う少し前。
本当についさっきなのよ?
なのに、目が覚めたら既に産まれていて、目の前に居るなんて。
でも、言われてみれば、お腹の中には何も感じない。
私の力も激減してる。
片翼を失った状態に戻った?
「ああ。正真正銘、お主の腹から生まれ出た、お主の血を継ぐ実の子供だ」
「なら、殺します」
「これでもか?」
赤子を包む虹色の光が、すーっと薄くなって、消える。
柔らかそうな指先に赤みが差して、うにうにと小さく動き。
シワだらけの顔が徐々に赤く染まり、歪んで。
「んん……ふぇ、えぇ……っ、んんぎゃあああっ!」
「────っ!?」
その小さな体のどこに、こんな大きな声を出す力があるのか。
耳をつんざく凄まじい悲鳴に驚いて、自分の体が跳ねた。
「な、なに? なんで、いきなり……!?」
「ふぎゃあああっ! ふぎゃあああっ!」
赤子は泣くものだと、知識としてはある。
でも、これは多分、普通の泣き方じゃない。
聴いていると胸がきつく締めつけられる。体中が酷くざわつく。
なんて切ない声で泣くの、この子……!?
「お主の心の内を察して、泣いておるのだ」
時司の神ティーは、ベッドの端に籠を置いて。
泣き喚く赤子を、そっと抱き上げた。
よしよしと笑顔であやしても、泣き声が収まる気配はない。
「私の、心の、内?」
「赤子は無垢であるが故な、周りと己の感情に鋭敏で、素直だ。この子は、お主の嘆きを映して悲しんでおる。この声は、お主の涙なのだよ」
「…………!」
「ふぎゃああっっ! んぎゃああっ!」
ティーの腕の中で、子供としても整ってない顔を崩すにいいだけ崩して、わんわん泣き喚く赤子。
甲高い声が切なくて苦しくて、耳を塞ぎたくなる。
「可愛いであろう?
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