解かれる結び目 15
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まい」
「影、響? 問題?」
男性は、簡素な木製の椅子から立ち上がり。
数歩後ろにあるテーブルから蔓籠を抱え上げて、椅子に座り直した。
肩まで布団に埋まっている私にも見えるように傾けられた籠の中身は。
敷き詰められた白い布の上で横たわる、虹色の光を纏った赤子。
……眠っているの?
ぴくりともしないし、声も出してない。
肌の色も異常なまでに白くて、赤みがまったく無い。
それに、背中に付いている小さなあれは、翼?
白い翼を持つ赤子、って……
「お主があまりにも冷静さを欠いておったのでな。少々強引ではあったが、両者の命を第一と考え、お主の体と胎児の時間を進めて、産ませておいた」
「…………は?」
時間を進めて、産ませた?
「さて。お主は、この子をどうするつもりかの? 先ほどから殺してくれ、殺してくれと、物騒なことばかり口走っておるが」
どうするもなにも……
え? なに? どういうこと?
赤子が、なに?
「早う答えよ。今の我では、限定的に止め続けるのも辛いのだ」
「ま、待ってください! 時間を進めたとか産ませたとか、どういう」
「ぬ。説明が必要かの? 死にたがりのくせに、状況整理を要求するとは。それだけ思考が落ち着いてきたということか。なればもう、そちらの干渉は要らぬか? 一応、元には戻すがな。混乱状態には陥ってくれるでないぞ。これでも限界の際故、そこまで付き合い切れる自信は無い」
ふっと、急に頭が軽くなる。
なんだろう?
まだ少しぼんやりするけど、やっと目が覚めたような感じ。
「ほれ。ゆっくり起き上がって、お主自身の体を見てみぃ。産後より数年分進めておいた故、口頭での説明より明確ぞ」
私の、体?
……あ、確かに。
上半身を起こしてみて、分かった。
気を失う前は肩下辺りまでだった髪先が、今は背中全体を覆ってる。
ローブを着てるからはっきりしないけど、胸も微妙に大きくなってる?
長い袖から覗く腕には、陵辱の痕跡も、転けた時の傷も見当たらない。
「我は天神の一族、原始の一柱。
『時間』を司る神、バルハンベルシュティトナバール。
無駄に長ったらしい上に発音しにくい故、『ティー』と呼ぶが良い」
原始?
天神の一族の、原始の……
「…………って、ええ!? 天神の一族の始祖様あ!?」
「うむ。厳密に言えば始祖の次代だがな。一族の始祖は天上の女神と最初の人間であるが故に、我は真の意味で一族最初の巫に相当しておる」
私以外にもまだ巫が生きていたなんて。
それも、『時間』の司……
『|
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