闇王
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は誰も望まん。
「ふぃ〜疲れた〜。おかげですっごくお腹空いたよ〜」
「後で教主がとびっきりの美味しいカレーを作ってくれますよ、レヴィ」
「カレー……美味しそうな響き、私も食べたいです〜♪」
「うぬら……戻ってきて早々、飯の話しかせぬのか。……すまぬな、教主殿。今、うぬの“拘束”を解放する」
労わるように呟いた我は、まだ目覚めぬ教主殿の身体を縛る器具を取り外していく。エグザミアの暴走が我らの想定をはるかに超えた場合、現実世界の教主殿の身体が暴れ出す危険性があったため、止む無く彼の身体をこうして拘束ベッドに括り付けていたのだ。我らとしても不本意であったのだが、万全を期して教主殿がそうするように進言したのである。
「……ん、俺だけ目覚めが少し遅かったか? もう器具を外したようだな……」
「もう終わったんだし、いつまでもそうしとく意味は無いからね〜」
「教主、お身体は大丈夫ですか?」
「いくらダメージを負ったとはいえ、精神世界での出来事だ。現実の肉体に傷は無…………ヌグッ! ゴホッ、ゴホッ!」
ベッドから起き上がりながら話していた教主殿は、途中でいきなり胸を押さえて咳き込みだす。音的にも痛々しい咳で、傍にいたシュテルが彼の背中をさする。しばらくして落ち着いた教主殿が、「大丈夫だ、もう心配いらない」と言って立ち上がろうとした。
だが途中で、目眩を起こしたように我の方にもたれかかってきた。
「おい教主殿!? 本当に大丈夫か!?」
「すまん……なんか身体が重い……。いきなり力が抜けて支えきれなかった……」
「やはり精神世界で受けたダメージが影響しているのだろう。現実に傷は無くとも、精神体が大量に傷を負ったのは事実だから、影響が何も出ないなんて事は考えられぬ」
「そうか……言われてみればその通りだろうな。悪いなディアーチェ、少しの間……身体を預ける」
「む、むう……良かろう、安心して我に委ねるがいい」
そう言うと大人しく身体を預けてきた教主殿だが……冷静に考えれば十分想定しえた事であった。精神体の耐久力はそのまま心の強さに通じる。それゆえ精神体が受けたダメージは、即ち心の衰弱に繋がる。一言で言えば、今の教主殿は疲れ切っている訳だ。親しい者の状態ぐらい把握できなくて、何が王か。これぐらいの慧眼は持っておるし、対応も出来て当然だ。
「……言っておくが、変な邪推はするでないぞ?」
「別に何も言ってませんよ? 羨ましい気持ちはありますけど、私は皆よりちびですから、支えきれずに押し倒されてしまいますからね」
「あ、ボクの方が力持ちだから代わってあげようか、王様?」
「待ちなさい、レヴィ。あれは王に対する一種のご褒美イベントというものですよ。ここは大人しく見守る
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