Vivid編
第三話〜妹たち〜
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りそうな気がしたためこらえる。
観念したように出てきた二人はライに近くまで来ると、顔を伏せるようにしてライに目を合わせようとしなかった。
数字の名前を持つこの二人――――オットーとディードはかつてJS事件の際、主犯であるスカリエッティによって生み出された『ナンバーズ』と呼ばれる戦闘機人であった。
JS事件後、彼女たちナンバーズは二つの選択肢があった。それは幽閉か奉仕活動を行うことによる社会復帰かである。
そして彼女たちは後者を選んだ内の二人だ。
社会復帰を望んだ内、この二人は同時期に生み出されたことで双子の姉妹のような認識を受けており、二人揃って聖王協会の方に所属していた。
髪型と服装以外はそっくりな二人の前に立ち上がったライは歩を進める。
一歩、また一歩と近付いてくるライに怯えるように二人の肩は震える。
彼女たち『ナンバーズ』からすれば、ライは兄であると同時に彼からヴィヴィオを誘拐し、更に事件に巻き込んだ一団の一味だ。恨まれこそすれ仲良くできる要素などないのだ。
そして事件を起こした側として他人から誹謗中傷を受ける覚悟も一応はあるのだが、義理――――と言えるかどうかも分からないが、一応兄であるライに正面から罵倒されるのを進んで受けることができる程、今の二人にその度胸はなかった。
「「「…………」」」
圧倒的な沈黙。
鳥の泣き声がどこかから聞こえてきたような気がしたが、それはどこまでも遠くいっそ空耳だったのか?と自身の聴覚を疑うほどだ。
「……ん」
そんな静粛をやぶったのはライであった。
彼は徐ろに右手を持ち上げる。俯いていた二人にもライの手は見えていたため、一瞬殴られるのか?と考えて目を勢いよく瞑ってしまう。
「僕の寝ている間――――」
頭に降ってくると思われた衝撃はこない。それどころか、どこか耳に心地よい声が彼女たちの耳に入り込んでくる。
恐る恐る顔を持ち上げると、右手で運動の為に三つ編みに結い上げられた銀の髪を弄ぶライの姿があった。
「髪の手入れをしてくれていたって聞いた……ありがとう」
そう言い切ると、ライは短髪であるオットーの頭をくしゃりと髪をかき混ぜるように撫でてやる。
一瞬ポカンとした二人であったが、やはり気になってしまったのかディードの方がおずおずと切り出した。
「あの、お兄様はそれで…………あの……」
最後まで言い切ることができず、尻すぼみになっているのは、やはり罪悪感が強いためか、それとも単純に怖いのか、それとも両方か。
本人ですら定かでない気持ちを察することは流石にできない為、今のライには素直な気持ちを伝えてやることしかできない。
「僕は君たちを許す気はないよ」
その言葉に息を呑む。
彼女たちに
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