Vivid編
第三話〜妹たち〜
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人、ライはもちろんなのはとはやても彼女のその言葉に疑問を持ち、首を傾げる。どうやら彼女たちもフェイトの言葉に心当たりはないらしい。
「母さんとお兄ちゃんがライに会いたいって。JS事件の事で聞きたいことがあるって」
ライに向き直ってフェイトがそう言うと、彼とはやての二人は目を細めた。
そこに浮かぶのは警戒と疑念。
今このタイミングで管理局高官である人物がライに接触を図ろうとするのは、何か意図があると邪推してしまうのは当然のことであった。
返答に一瞬詰まったライを見て、フェイトは彼の考えを察したのか慌てた様子で言葉を付け加えた。
「あ、えっと、JS事件の時に間接的とは言え、事件解決の為に動いてくれたことに対するお礼が言いたいってだけだから」
特に何かを意図したわけではないとアピールするようなフェイトの慌てる様子に、変に警戒していたライは毒気を抜かれた。
他人を疑ってかかるのは職業病なんだろうか?と内心で自問しながら、ライはフェイトの申し出に了承の意を返すのであった。
中庭
よく手入れのされた中庭の芝生。しかし、ここ最近は激しい運動が繰り返し行われているため、疎らにではあるが所々に茶色い土が見え隠れしている。
その芝生でそのまだら模様を量産している本人であるライが座禅を組んでいた。
ライは体を動かす訓練や大事な作業を行うときは、事前に禅などを行い、集中力を高めようとしている。たった数分程度のものであるが、それをする事で訓練時の集中力や持続時間、それにかなり鋭敏な感覚を養えるようになるのだ。
「――――」
座禅のために内側に向けていた自己の意識を、ゆっくりと外側に向けていく。
すると首の後ろ辺りに視線を感じた。だがそれは、ここ最近度々感じるもので、視線の主もライは既に把握している。
その二人とは、この世界で新たにできたライの妹であった。
伸びてから未だに切っていない長髪で隠すように、二人の方に視線を向ける。視線の先には協会の建物の影から頭を少しだけ覗かせ、こちらを伺うようにしている二人分の顔が見えた。
生憎と表情までは見えなかったが、彼女たちの心情もある程度理解はできる。ここ最近彼女たちはライを遠巻きから伺うことをよく行っている。それはどこか言いたいことがあるけど言い出しづらいと言った風で、彼女たちが一歩踏み込んでくるのをライは待っていたのだが、明日にでもここを退院してしまうため不本意ではあるが彼は彼女たちに切っ掛けを作ってやる。
「オットー、ディード。出ておいで」
大声ではないが、離れている彼女たちに聞こえる程度に声を張り上げる。
ライからの呼びかけに二つの頭が大きく揺れた。その反応がどこかおかしくて笑いをこぼしそうになるが、何か台無しにな
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