第四話「飛鳥の決意」
[8/15]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
ように、俺は何処へ行けばいいのかわからずにひたすら目の前を歩いた。
そんなとき、目の前の塀に俺の手配ポスターが張ってある。それを剥がすと、そのポスターを見つめた。自分がしでかした罪の重さが伝わってくるかのようだ……
「おい! テメェ……確か、どこかで?」
俺の背後から数人の男たちが酒瓶を片手に歩み寄ってきた。俺とそこに張られていたポスターとの写真が一致すると、男たちは目の色を変えて俺に襲い掛かろうとしてきた。幸い、相手は老いぼれで、さらに酒にも酔っていたことから簡単に蹴散らして逃げ延びることができた。
「くそっ……!」
――くそっ! どうして、俺がこんな目に会わなければならないんだ!?
指名手配され、さらには裏路地でゴロツキ共に追い回され、そんな己の虚しさが徐々に涙へと変わっていった。
息を切らして、俺は立ち止まった。
「追ってこないよな……?」
振り向くと、そこには俺を追いかけてくる男たちの姿は居なかった。これでどうやら一安心ができそうだ……
背後に気を取られながら俺はウロウロと歩き続けると、
「っ!?」
突然、ゴツイ手につかまれて俺は、路地の裏側へ引きずり込まれてしまった。
――見つかった!?
咄嗟に抵抗した時、聞き覚えのある男の声が耳に飛び込んできた。
「まてまて? もう、お前さんをしょっ引こうとはしねぇよ?」
そこには、警察署で俺を尋問した中年の刑事が居た。
「あの時の!?」
「よぉ? しばらく見ないうちにふてぶてしくなってんな?」
「な、何の用です?」
俺は身構えを取る。
「やれやれ、こいつぁ嫌われたもんだな……ま、当然のことだが」
「本当に、俺は嘘なんてついませんよ」
「わかってらぁ? だが……」
背後から幾人かの声が迫ってきている。
「……話は後だ。行くぞ!」
「あ、ちょっと!」
俺は、信用していいのかわからないものの、今の状況からしてこの刑事の後を走った。
できるだけ表へ出ることなく裏道を走り続けて、ある人気の少ない広場へとたどり着いた。
*
「とりあえず休憩だ! くそ、年をくうと昔みたいに走れねぇや……」
息を切らして刑事は目の前の地べたに尻餅をついた。
「大丈夫ですか?」
「ああ……だが、年には敵わねぇぜ?」
追手もどうにかまいたことだし、しばらく息を整えるまで俺たちは広間で休んだ。
「……それよりも、俺と逃げてまで聞きたいこととかあるんですか?」
俺はそう尋ねた。
「バカヤロウ、聞きてぇえことがあるからお前と逃げたんだろうが?」
「……で、何が聞きたいんですか? 言っときますけど、尋問されたときと同じ事しか話せませんよ?」
「ああ、そいつはわかってる。別のことでだ」
「別のこと?」
刑事は、懐からタバコを取り出して一服すると、一服間際に俺へ名を確かめた
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ