第四話「飛鳥の決意」
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れほどな重罪を受けるとはないだろう。
ニュースの画面に俺の名前が載ったことはとてつもない衝撃に見舞われた。
「あ、そういえば……」
……そういえば、俺が指名手配されたら家族はどうなる? 父さんは? 母さんは? そして、舞香は? どうなるんだ?
今更嫌いな家族なのに、なぜか心配してしまう。皮肉な物だ……
「俺の家族はどうなるんだ!?」
つい、口に出してしまった。
「おそらく、お前の家族はIS委員会によって保護されているだろうな? 妹だって無事にIS学園へ行けるさ? まったく、お前は本当にお人好しだよな?」
もう九条家とは縁を切ったはずなのに、まだ彼らのことを心配しているなんてと蒼真はため息をつくが、その反面に彼は飛鳥のそういう人間くささを改めて見た。
「とりあえず、あなたのご家族は無事でいられるでしょう? 何事もなく生活はできます。問題は九条さんです。しばらくは、この基地で身を隠したほうがいいと思われます」
弥生の言う通りだ。しかし、この俺が指名手配犯だなんて心が傷つく。
「とりあえず、お前はしばらくここに居るんだ。いいか? 何があってもこの基地から地上へ出るんじゃないぞ?」
蒼真の強い口調に俺は頷いた。しかし、俺とて指名手配されていることは理解できている。自分でも自ら地上へ出るようなことはしない。
*
しかし、その夜のことだった。
俺は、自分でも区別ができるはずなのに、幻なのか、現実なのか、単なる夢なのかもわからない幻想に見舞われることとなる。
『お兄ちゃん……お兄ちゃん、助けて……』
意識の中で、妹の舞香が必死に俺へ助けを求めている。空耳なのか、それとも夢なのか、区別がつかない。
――舞香?
『助けて……お兄ちゃん、助けて……!』
「舞香……!」
しかし、目を覚ました途端、そこに舞香は居なかった。ただ、自分の頭へ響くように聞こえてくる。
「何なんだ……?」
それからというもの、俺は蒼真の自宅で家事をするにも時折に舞香の幻聴が惑わすように聞こえてくることが多々あった。蒼真や魁人、ましてや弥生に話しかけられても、上の空な状況が多くあり、最近では蒼真の自宅でぼんやりと一日を過ごすことが多くなった。
「……」
「九条さん……」
ソファーでただ夜が過ぎるまで座り続ける俺に弥生が不安な目を向ける。
「……」
「九条さん、最近様子がおかしいですよ?」
「うん……」
俺が答えるといったら「うん」か、「ああ」か、「いや」の三つだけだ。
周囲は、俺が指名手配されて気を病んでいるのかと思ってあえて声をかけないでいる。蒼真も、俺が精神的に病んでいるのかと思い、しばらくは様子を見続けているといった感じだ。魁人も、出会った以来ラボに籠り続けている。
「九条さん、いったいどうしたんですか?」
何度も彼女は俺に問いかけても
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