第四話「飛鳥の決意」
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けてみるか……?」
多熊は、そう静かに笑んだ。
「……!」
そんな彼の近くで共に隠れながら光景を目にする俺は、ただ警官らが殺されるのを指をくわえてみているしかなかった。
――こんな時に、零が使えたなら……!
しかし、どれ程念じようとも零はそれに答えてくれなかった。
「九条!」
多熊は俺の元まで戻ると、意を決したかのように俺へこう言う。
「自衛隊のISが来るまで時間がない! このままじゃあ、あの警官共と同じ目に会うぜ」
多熊は、俺の肩を掴むと真剣に説明した。
「いいか? このままだと俺もお前も殺される。だが、お前だけは何としても生き残れ」
「え……どういう意味です!?」
「お前は俺よりも若いし、今のお前は無抵抗な一般市民同様だ。人々を守るのが、刑事である俺の仕事だ。それが……命を落としてでもな?」
「た、多熊さん!?」
「俺が奴らを引き付けて時間を稼ぐ。その隙にお前はできるだけ遠くへ逃げるんだ」
「そ、そんな……!?」
「……死ぬなよ? 後のことは、お前にすべて託す! 俺がしてやれるのは……ここまでだ!」
そして、彼はIS達の元へとびだし、懐から小さな拳銃を取り出して発砲した。
「多熊さん!!」
俺は逃げようにも足が思うように動けなかった。ただ、呆然と多熊の最期を見続けた。
「男を舐めんじゃねぇぞ!?」
我武者羅に発砲する多熊へ数人のISがライフルを発砲し、それをせっせとかわしながら瓦礫を楯に銃で撃ち返す。
「何してやがる! 逃げろ、飛鳥ぁ!!」
「っ!?」
多熊の叫びに、ふと我に返った俺は目の前で大量の銃弾が多熊さんを襲う、しかし。
「このぉ……!」
多熊さんへ襲い掛かるはずだったその銃弾は零の二刀に弾き飛ばされる。
「多熊さん! 怪我はないですか?」
「バッカ野郎が……逃げろって言っただろ?」
「逃げません……!」
「……?」
俺は、力強く零の刀身を握りしめた。
「もう……逃げない。零を手にした時から、俺はそう誓ったんです!」
「飛鳥……」
「ケッ! ベタな理由だが、嫌いじゃないぜ……?」
ずれたキャスケットをかぶりなおす多熊は微笑んで、立ち上がった。
「多熊さん、ここは俺に任せてください……」
その、決意の固い俺の背を目に、多熊さんは従うよりほかなかった。
「飛鳥、死ぬんじゃねぇぞ?」
多熊さんはその場から離れ、残っているのは俺と敵のIS集団だけである。
「男ってバカばっかりよね? 本当に呆れるわ?」
「それよりも、とっととこのガキを殺して帰ろうぜ?」
「……!」
俺は振り返り、奴らを睨みつける。俺は振り返り殴りかかろうと突っ込むが、ISの一人がアーマーに包まれた片腕で俺を首を掴み上げると、そのまま瓦礫へ押さえつけた。
「すぐに殺すのは惜しい、ゆっくりと嬲り殺し手あげ
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