第四話「飛鳥の決意」
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メガロポリス警視庁・特捜部
「……」
高性能なヘッドホンをつけて、多熊警部はノイズが走り続ける音声を聞き続けていた。
目撃者のケータイに撮影されていた音声だけの証拠、それをコピーしたのを端末に移して何度も聞き続けていたのだ。
――たくっ! 映像さえあれば……
肝心の映像は、目撃者の指がカメラに被さって見えなかった。
「ったく! 映像さえありゃ……」
多熊は、そうため息をつきながら、もう一度端末の再生ボタンを押した。
「調べた結果じゃあ、音声の正体は本物に近い……だが、それを証明する映像がなければ話にならない。音だけ、じゃあなぁ……?」
腕を組んで深く唸りだす多熊は、ここが禁煙だとお構いなしに懐からタバコを取り出して、一服を始めた。
――本当の敵、か……
あのとき、九条という青年が発した一言が、未だ彼の頭から離れないでいた。
「警部、ここは禁煙ですよ? お忘れですか?」
若い部下が、彼の元へ新しい資料を手に現れた。
「別に、この部署の管理者は俺なんだ。固いこと言うなよ?」
いつも注意されているため、苦笑いを向ける多熊だったが、
「新しい情報が入手されました」
「なに……本当か!?」
それを聞いた途端に、多熊はひったくるように部下から情報のファイルを受け取って開いた。
「こいつは……長い刃物のような跡だな?」
山道の路上に斬りこまれた何かの傷跡であった。長年の経験からして、その跡を付けた刃物は、剣のように長い鋭器であった。
「事件現場の写真です。やられたISは既に政府用人によって回収されてしまいましたが、道路に残ったわずかな傷跡からこれを見つけることができましてね?」
「そうか……これは、俺が思うに刀……ん!?」
数日前、飛鳥という若者が「刀が二本出てきて……」と、いう発言を思いだした。
――ま、まさか……!?
そんなことあり得るはずがない……いや、ISの待機状態という本機体を電子分解させて好みの小物へ収納させる圧縮技術なら可能かもしれない!
「まさか……」
そう多熊は、自分の直感で胸騒ぎを感じた。
「……」
そして、彼は途端に席から立つと上着を羽織り、懐へ警察手帳と銃をしまう。
「……若いの、俺はちょっくら出かけてくる。留守番頼んだぞ?」
「警部、どちらへ?」
「この事件に関する捜査だ。俺だけでいい、ほかの奴らには別の事件捜査をするように言っておいてくれ?」
言い終えると、彼は速足で部署を出て行った。
*
リベリオンズ日本支部
リベリオンズの日本支部は、空中に浮遊する巨大な要塞である。そこには、メンバーたちが生活するに十分な設備と施設が設けられていた。
「夢じゃないよな? 本当にこんな場所が実在していたなんて……」
何度も、自分の目を疑う飛鳥に蒼真はこう囁く。
自分たちがいる
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