第1章:平穏にさよなら
第6話「導きの光」
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こんなのでは全く役に立たない。
「....くそっ!」
「ちょっ...。」
自身の無力さの悔しさで思わず近くの壁を殴る。後ろにいる二人が驚いたけどそんなの関係ない。
「あの、落ち着いてください...。」
「落ち着いてる...!落ち着いてるからこそ、悔しいんだ....!」
「アンタ....。」
両親がいなくなって、でも前世と違って緋雪がいたから護ろうと強くなって。でも、結局何もできなくて。ただ悔しくて悔しくて、現実を突きつけられて嫌になる。
「兄は...妹を護る者だろう...!」
「お兄さん....。」
「っ....!」
キッと睨みを効かせるように未だに続く戦いを見守る。
「...そうだよ...。僕が、しっかりしなきゃ...緋雪を立派に育つよう、導かなきゃ...。緋雪だって、あんな風に暴走したくないんだ...。」
力不足だからなに?止めたらダメなのか?
―――そんな訳がない。
「僕が、緋雪を正しい道へと導くんだ...。」
力なんて関係ない。必要なのは、覚悟と、それを行う意志の強さだ。
―――“あの時”と同じ事を、繰り返さない...!
「(っ...!?今のは...?)」
ふと、どこか荒廃した地で、誰かを庇って倒れる自分を幻視した。
「...そうだ。あの時とは違うんだ...。」
幻視した光景が、何かは分からない。だけど、自然と口から言葉が出る。
―――強さは低くなっている。
「お兄さん....?」
「何を...?」
二人が僕の様子を心配してくる。
「力が足りなくてもいい、ただ、止めたいんだ。」
―――でもそんなのは関係ない。
「自ら望まない事をしている人を...。」
―――行動に移すか移さないか、それだけ。
「僕が大切だと思う、その人を...。」
―――覚悟を、意志を固め、それを貫け。
「ただ、救われるその道へ、導きたい!」
―――人を幸せに導くのは、それだけでもできるから。
....瞬間、目の前が閃光に包まれる。
「何っ!?」
「っ!?」
戦っている二人がこっちを向いて動きを止める。
〈Sprache suchen....。検索完了しました。〉
目の前に現れたのは、光を放っているかのように白いクリスタルだった。
「え....?」
〈ようやく...ようやく巡り合えました...!〉
目の前に浮かぶそのクリスタルは、僕に向けてそう言葉を放った。
〈一体
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